大切なのは「何を創るか」でしょ
ラップを書く上で僕が必要としている音はコードとリズム。展開があって、スイング感がわかれば、後は本番の演奏、録音に向けて脳内ミックスでこと足ります。
曲作りのおおよその手順はこちら。朝起きる。ご飯を食べる。Macに向かう。ドラムパターンを決める。Apple Loops(GarageBandのループ素材)で適当なものを選ぶか、もしくは自分で打ち込むか。フィル※1などは後でどーにでもなるので、ここではあくまでイメージのリズムを。
※1フィル フィルイン。ドラム演奏で使われるもので、一定のリズムパターンの間に挟む即興演奏のことを指す。
お次は、ギター録音。ドラムのループを組んだら、それに合わせてコードを決めていきます。二小節展開、四小節展開、一小節で勝負みたいな。イントロ、平歌、展開、サビぐらいはあると理想です。
GarageBand の便利な機能のひとつにループ録音があります(こういう呼び名なのかな? 微妙)。ループしながら録音できるので納得いくテイクがとれるまでひたすら録音できます。あ、できた。そうしたらそこでストップ。へたっぴなギターもだいたいなんとかなるもんです。
納得のいく数種類の展開をすべて録音し、並べることができればトラック作りはもはや完成したようなもんですね。
あとは気分でベースを。今の状態でも書けますが、より具体的なイメージがある場合、ベースも入れてみたりします。実際のベースで録音するときもあれば、GarageBandでMIDI鍵盤を鳴らして打ち込むこともあります。打ち込みの場合、クオンタイズ先輩※2が大活躍。少々よれたって、ボタンひとつでグルービー。ああ、便利。
※2クオンタイズ 録音した音のタイミングを補正する機能。
場合によっては「ウワモノ」※3も。ストリングスやサイドギター。鍵盤でリフ的なものも入れたりします。イメージとしてあった方がいいものはガンガン入れて、後々のアレンジの為にスキマを残しておく場合はこの辺でストップ。何事もやり過ぎ禁止ですぜ。
※ウワモノ ギターやキーボードなどのこと。ヒップホップでよく使われるドラム、ベースといったリズム以外のトラックを指す。
昼ぐらいまでにこの作業が終わったらもう後は慣れたもの。飯食ってラップ書いて、歌をマイクで録音。夕方5時には完成。9時5時でできたら、あとは飲みに行くだけですね。
そんな感じで完成したデモトラック。バンマスやバンドメンバーと相談して、方向性を決定。ひずんだギターを入れるのか、白玉系の鍵盤なのか。テンポとキーはそもそもいいのか。相談がまとまれば、あとはスタジオに入って、録音作業。音を鳴らして、録音、確認、完成。乾杯という訳です。
僕は家ではiMac、持ち出し用にはMacBookを使っています。外での作業も実に簡単。オーディオインターフェイスがなくったってGarageBandは動きます。旅先やライブの楽屋で新しい曲を思い付いたら、その場でデモ作りなんていう機動力も魅力です。
それにしてもGarageBandって便利だ。WikipediaでGarageBandを検索すると「アップルが開発・販売する初心者向けの音楽制作ソフトウエア」とあります。ハッキリ言って、これで十分なんですけど。ははは。
大切なのは「何を使うか」というより「何を創るか」でしょ!? 難しいマニュアル読んで四苦八苦するくらいなら、その時間を作詞やギターの向上に充てたいと激しく思う僕なのです。GarageBand、オススメですぜ。
こんな感じででき上がった曲達が入ったアルバム、「世界が明日も続くなら」。この機会にぜひ。
GAKU-MC
1990年、「EAST END」を結成。「EAST END×YURI」名義として「DA.YO.NE」でヒップホップ初の紅白出演。藤井隆「ナンダカンダ」など、作詞提供多数。日本テレビ「サッカーアース」の司会を担当、桜井和寿とのコラボシングル「手を出すな!」をリリース。
10月21日には7年振りとなる4th ALBUM「世界が明日も続くなら」を発売(Amazon.co.jpで見る)。ナイス橋本とヨースケ@HOMEとのタワーレコード限定「今日からみんなともだち」も同時発売した。11月より全国7ヵ所にてツアーを敢行。
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