驚異的な速度の全文検索機能
検索機能はフリーソフトのSylpheedがもともと備えている検索機能と、ライセンス購入により追加される全文検索機能の2種類が用意される。前者は指定したキーワードがメールにあるかどうかを照らし合わせていくごく普通の機能で、その速度はディスクアクセスやCPUの速度にもよるが、対象メールが数千件だと数十秒から数分ほどかかる。
これに対し後者の全文検索機能は、オープンソースのリレーショナルデータベース「PostgreSQL」を利用した検索機能だ。驚くべきはその検索速度。テスト環境はPentium M(1.2GHz)搭載ノートPCという、今で言えばネットブックに近いロースペックマシンだが、約8000通のメールをキーワード検索させても、ボタンを押して結果が表示されるまでコンマ数秒程度である。
メーカーでは「10万通でも1秒検索が可能」とアナウンスしているが、実際に検索させてみるとその言い分も納得できる速度である。検索対象が本文だけでなく、添付ファイルのOffice文書やPDFファイル、zipアーカイブ内も含まれるのも実用的で便利だ。ビジネスでのメールのやりとりは、これらの添付ファイルこそ重要というケースが多いので、この高速検索は大いに活躍するだろう。
高速検索は別ウィンドウで行なわれ、検索対象は本文、差出人、宛先、件名にキーワードを入力して実行する。そのほかはフォルダーの指定と日付程度とシンプルだ。検索は単語単位で行なわれ、文章を入力した場合でも自動的に単語単位に分割して検索される。
また、半角スペース区切りによる複数の単語での検索や、本文と件名といった複数条件下での検索は、すべてが一致するもののみが表示される。
検索でヒットしたメールを選択すると、その下のボックスに内容が表示され、Sylpheed本体の選択メールも自動的に切り替わる。このとき本文ボックスのテキストでは検索キーワードが反転表示される。
AND検索のみできめ細かな条件検索や絞り込み検索はできないが、何度も検索をやり直す場面でも表示はほぼ一瞬なのでストレスを感じない。徐々にキーワードを増やしつつ絞りこんでいくような使い方が向いているだろう。
高速検索はデータベースを利用しているため、ローカルドライブにはメール内容とは別にデータベースファイルが生成される。今回の試用ではメールボックス全体が約450MBほどの容量だったが、データベースファイルの容量は54MBほどあった。大雑把に見てメールファイルの1割ほどのストレージ容量が必要になると思われる。
最近のHDD容量から考えると気にする必要はないが、SSDやネットブックなどで比較的小さめのストレージを利用している場合は、空き容量に注意した方がよさそうだ。
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ビジネスでもプライベートでも、今やメールは必要不可欠な存在だ。平日なら1日に100通以上のメールを受信し、メールのストックは数万件という人も珍しくないはず。メールが増えれば増えるほど検索にかかる時間は増えていくが、本ソフトの高速全文検索ならその心配はない。捨てるに捨てられない膨大なメールから目的の1通を探すのに苦労した経験があるなら、文句なしで乗り換えを勧めたいソフトである。