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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第95回

冬春モデル発表会で見えた、本当に欲しいケータイ

2009年11月13日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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ケータイWi-Fi、オートGPS
新しいキーワードが作るモード

 今回の発表でソフトバンクが強調したキーワードは「ケータイWi-Fi」である。今回正式発表した上位機種7モデルにWi-Fi機能を搭載し、ケータイの3G通信とWi-Fiの2つのアクセス経路を使い分けるサービスを始める。ケータイWi-Fi向けコンテンツとして雑誌や映画などのコンテンツで訴求する。

 この使い勝手のヒントはiPhoneだと孫氏は指摘する。iPhoneユーザーの半数が自宅や職場でWi-Fi経由のアクセスをしており、その高速な使い勝手をケータイにも広げようという方向づけだ。この舵切りは現在の3Gネットワークや将来のLTEへの設備投資に対してネガティブであるという見方もできる。

 しかし一方で、今すぐにケータイでの高速通信の恩恵を受ける手段としては最適な方法といえる。自宅や職場でのケータイの使い方と移動中や出先でのケータイの使い方に「モード」が生まれ、自宅や職場での新しいコンテンツ消費や課金の可能性を作るものでもある。

フェムトセル

フェムトセル基地局を手に持ち「マイエリア」サービスについて説明するドコモ・山田社長。同時に発表したオートGPSとともに、どこでも使えるケータイに対して、エリア限定の概念が持ち込まれようとしている

 1つの端末を使う場所によって違ったモードで扱うという考え方は、ドコモのフェムトセル導入にも近い。ドコモが今冬に始めるフェムトセルサービス「マイエリア」では、安定した通信を楽しめるだけでなく、「在圏情報」を確認できる安心・安全サービスの提供手段にもなるという。

 今までケータイはエリアの充実によって「どこでも使える」という情報端末であったが、ケータイWi-Fiやマイエリアなどのサービスを見ると、「ケータイをどこで使うか?」という逆の切り口が生じている。使う場所によってスピードが変わる、行動が変わる、コンテンツが変わるのだ。

 またドコモが打ち出したオートGPSは、5分に1度、端末からドコモにユーザーの位置情報を送り、その位置情報を活用することで、iコンシェルなどの情報サービスをより行動支援に役立てられるようにする。これも「ケータイをどこで使うか?」を意識させられるサービスだ。

 発表会では自分が今いる場所から自宅までの終電をお知らせしてくれるサービスや、JAL/ANAのチケットサービスと連動して、空港に近づいたら乗る飛行機の便名やゲートを知らせてくれるデモが行なわれていた。つまり飛行機に乗る特定の人に対して、位置情報を元にした情報提供を実現するのである。ここで「誰でも」ではなく「あなただけ」というモードが生まれる。

 より狭いエリアと対象に区切ることによって、今までとは違う情報サービスが提供されるようになり、またユーザーにとって「ケータイが頼れる対象」になる可能性を感じた。自分の情報をどこまで開示するか、という問題はあるものの、いつも同じ場所で調べていた情報を勝手に教えてくれる便利さも体験してみたいところだ。

モデル

ドコモ・STYLEシリーズでは、ファッションブランド、アクセサリーブランド、ファッション雑誌とのコラボレーションを進めて個性化を深める戦略。今回は雑誌Seventeenとのコラボレーションモデルが発表された

筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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