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参照トラフィックは新規ユーザー獲得のチャンス (2/5)

2009年11月12日 15時00分更新

文●中野克平/デジタルコンテンツ部編成課

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参照トラフィックの増減に気づこう

 「トラフィック」→「概要」のトラフィックサマリーレポートを見てみましょう。以下は、ASCII.jpのあるサブドメインについて、ある期間のトラフィックを比較したときの画面です。

トラフィックサマリー

「トラフィック」→「概要」の「トラフィックサマリー」レポートで、指標の変化を比較したところ


「もうGoogle Analyticsの指標を読み取れますよ。参照サイトが8.07%増えた分、ノーリファラーが3.50%、検索エンジンが3.65%減ったんです。参照サイトがなぜ増えたのかは、『トラフィック』→『参照サイトレポート』で調べればいいはずです」――残念。またまたGoogle Analyticsの罠にはまりましたね。「えぇー!?」

 Google Analyticsは、画面のように指標の増減を改善は緑、悪化は赤で表示してくれるので何がどのように変化したのか分かりやすいです。しかし、トラフィックサマリーについていえば、トラフィックの割合の変化を色で区別することには何の意味もありません。まず、ノーリファラー、参照サイト、検索エンジンというトラフィックは、どういう割合が最適なのか、という理想的な値がないからです。また、割合は合計すれば必ず100%になりますので、セッションの増え方が異なれば、以前よりも割合として少なくなったり多くなったりするトラフィックがあるのは当たり前です。

 ある場所でGoogle Analyticsの説明をしたとき、トラフィックサマリーレポートを見て、「ノーリファラーの割合が下がったので、対策を考えなければならない」とか「参照サイトの割合が上がったのがよかった」と指標を読み取った人がいました。トラフィックサマリーレポートだけ見ると、参照サイトの伸び率が高かったために、まるでノーリファラーと検索エンジンのセッション数が減ったかのように錯覚してしまうのです。

 トラフィック別のセッション数が変化したときに知りたいのは、トラフィック別の割合ではなくセッション数の増減なので、トラフィック別のセッション数の割合がどう変化したのかを知っても、アクセス解析にはまったく役に立ちません。

「Google Analyticsって罠だらけですね……」――プロ向けのアクセス解析ツールであるUrchinが元になっているので仕方ないですね。いつもどおり、ASCII.jpのあるサブドメインについて、ある期間の指標を比較した表を用意しましたので、指標の変化の意味を読み取りましょう。

期間A 期間B 増減
全体 セッション数 1,129,132 1,233,892 +9.28%
平均ページビュー 4.22 3.89 -8.00%
ページビュー 4,769,617 4,794,957 +0.53%
直帰率 46.09% 44.85% -2.70%
ノーリファラー セッション数 270,119 284,852 +5.45%
構成比 23.92% 23.09% -3.50%
平均ページビュー 4.47 4.13 -7.70%
直帰率 44.76% 42.93% -4.09%
参照サイト セッション数 348,459 411,507 +18.09%
構成比 30.86% 33.35% +8.07%
平均ページビュー 4.17 3.74 -10.52%
直帰率 44.74% 43.92% -1.84%
検索エンジン セッション数 510,554 537,533 +5.28%
構成比 45.22% 43.56% -3.65%
平均ページビュー 4.13 3.87 -6.15%
直帰率 47.71% 46.57% -2.39%

 全体の傾向を読み取ると、セッション数が112万9132から123万3892に9.28%増えていますが、平均ページビューが4.22から3.89に8.00%減ったために、ページビューは476万9617から479万4957に0.53%しか増えませんでした。「セッション数が増えたのはどのトラフィックか?」「平均ページビューは、どのトラフィックでも減ったのか、特定のトラフィックで減ったのか?」という疑問が湧いてきます。

 セッション数が増えた原因をトラフィック別の指標から読み取りましょう。まず、セッション数はすべてのトラフィックで増えています。内訳をみると、ノーリファラーは27万119から28万4852に5.45%、参照サイトは34万8459から41万1507に18.09%、検索エンジンは51万554から53万7533に5.28%増えています。「トラフィックサマリー」レポートはやはり錯覚で、参照サイトの増え方が他に比べて大きいので、まるで参照サイトだけが増えたかのように見えたわけです。

 平均ページビューはノーリファラーでは4.47から4.13に7.7%、参照サイトでは4.17から3.74に10.52%、検索エンジンでは4.13から3.87に6.15%減りました。どのトラフィックでも落ちているので、コンテンツとユーザーのミスマッチが起きているわけではなさそうです。全般的に記事1本あたりのページ数が少なかったなど、トラフィックとは別の問題が考えられますが、今回のテーマとは話が違いますのでこれ以上は踏み込みません。

 ここまで分かったことをおさらいしましょう。

  • 期間Aと期間Bでは、セッション数が10万4760増えた
  • ノーリファラーのセッション数は1万4733増えた
  • 参照サイトのセッション数は6万3048増えた
  • 検索エンジンのセッション数は2万6979増えた

 今回は参照トラフィックの増減がテーマですので、次ページ以降では、ある期間に参照トラフィックが増減したのはどの参照サイトが原因なのか調べます。

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