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第2回 山口編

岩国市観光協会の贅沢な「悩み」

観光客増の岩国のWebが地味な「理由」とは?

2009年11月16日 12時00分更新

文● Web Professional編集部

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岩国の観光資源

 こうして見ると、岩国市は恵まれている。万葉集から、毛利元就、佐々木小次郎などの歴史的著名人に関連しているし、岩国城や錦帯橋のような観光地もある。錦帯橋を渡る人の数も、ここ最近わずかではあるが増え続けている。ところが岩国市観光協会のWebサイトがあまり更新されていないのが気になった。

 米重氏によると、「ITによる観光客誘致は、どこまでやりゃいいか、答えのでない問題だ」という。「もちろんWebサイトを作って効率化できた部分もありますよ。たとえば観光客の数は増えているのに、パンフレットの配送枚数は毎年減っています。Webで情報が見られるので、紙のニーズが減っているんでしょうね」というから、ITの効用は認めている。ところが、ただ観光客が増えればいいものではない、というのが米重氏の意見だ。「いま錦帯橋を訪れるのは毎年60、70万人。お金をかけて宣伝すれば、100万人にすることだってできる。平成16年にあった錦帯橋の掛け替えは、それ自体がニュースにもなって、大勢の人が来てくれた。でも、観光地のキャパシティも考えないといけない」というのだ。

岩国市観光協会のWebサイト 岩国市観光協会のWebサイト

「春には錦帯橋まつり、花見などのイベントがある。ところが駐車場が足りないので、マイカーでいらっしゃったお客さんをお断りすることがある。その人にとって錦帯橋を訪れるのは一生に一度かも知れないのに、本当に残念な話」というわけだ。また、「県や市の提供する観光情報と重複しても意味がないし、商店のリンクを載せ出すときりがない」し、名物の岩国寿司についても「どこのお店が一番おいしいですか? みたいな質問には、観光協会としては答えられない。今は、最小限のイベント情報と錦帯橋周辺マップを更新して、他のサイトにリンクを張るくらい」なのだ。というわけで、岩国市観光協会のWebサイトは、平成16年(2004年)に錦帯橋を大規模に掛け替えたときに構築して以来、行事やリンク集を少し更新するだけになっているわけだ。

増水時の水流を石垣で耐え、アーチ状にすることで橋脚を減らし、「流されない橋」を実現している
増水時の水流を石垣で耐え、アーチ状にすることで橋脚を減らし、「流されない橋」を実現している

 確かにITによって効率化されるのは、1対多で情報を提供する部分であることが多い。ユーザーサポートのように、多対1になると人手がかかってしまい、IT化だけではどうにもならない。最近の若い人はケータイで情報を得ることが増えている。ITで観光情報を提供すれば、必ず喜んでもらえるだろうし、活用してもらえるだろうが、ユーザーが増えればサポートしなければいけない機会も増える。この時代に観光客が右肩上がりなのは素晴らしいが、IT化のボトルネックは意外にも駐車場スペースにあるとは思わなかった。元気な地方には元気な悩みがあるものだ。


 次回は、鳥取に元気を探しにいく。

ファーストサーバの「FAXゲートウェイ設定」

 取材に同行してくれたファーストサーバ販売企画部の森下源一氏も、駐車場のキャパシティがボトルネックになり、Webサイトの更新を最小限に抑えていることに驚いていた。何でもWebでできるようになったように見えて、リアルな世界にはWebで解決できないさまざまな問題があるものだ。とはいえ、そこは営業マン。Webだけで解決できない問題を、別の技術で組み合わせたサービスとして「FAXゲートウェイ設定」を紹介してくた。

 「FAXゲートウェイ設定」とは、ファーストサーバのマネージドレンタルサーバーで利用できるサービスのこと。マネージドサーバーのメリットはサーバーの運用管理をまるごとファーストサーバに任せておけるのが特徴だ。

 「FAXゲートウェイ設定」はNTTコミュニケーションズ株式会社の「インターネットFAX(iFAX)」を利用したサービス。メールで受信した内容をFAXにも出力したり、WEBブラウザを利用して複数のFAX宛に一斉同報送信を行うことも可能だ。メールはいちいちPCを立ち上げないと新着の確認もできないが、FAXならPCを操作しなくても、新着を目で確認できる。深夜でもFAXの着信音で緊急の受注がわかるなど、業種によってはメールよりも大活躍しそうな機能だ。


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