10月29日、動画共有サービスの「ニコニコ動画」は、「(ββ)」(ダブルベータ)から「(9)」へとバージョンアップした。
このバージョンアップで、「世界の新着動画」や「カテゴリ改編」といったさまざまな新機能の追加や仕様変更が実施され、ネット上では賛否両論ながらも「進化し続けるニコ動」の新たな姿勢を見せた形となった。
同時に11月14日より、関連イベント「ニコニコ大会議2009-2010」の全国ツアーを実施することも発表している(関連リンク)。2008年、ニコニコ大会議は夏と冬の2回に渡って東京のJCBホールで開催していたが、今年は仙台/金沢/高知/福岡/大阪/名古屋/札幌/広島という8ヵ所を巡るので、地方在住のニコニコファンも参加しやすいだろう。
過去の例を見ると、ひろゆきのブロマイドを配ったり、ひろゆきの胸像を作ったりと「やりたい放題」だったニコニコ大会議だが、一体、ドワンゴはこの大会議ツアーで何を見せてくれるのだろうか?
また、このイベントの参加料は何と無料だ。「ニコニコ動画は赤字」とあれほど繰り返して言っているのに、なぜお金のかかる全国ツアーを、しかも無料で展開するのか?
詳細を聞くためにニコニコ動画のスポークマンである齋藤Pを直撃してみると、何とこの大会議の各地で「(9)」のまだ明らかにしていない新機能を発表していくということが判明した。早速、そのインタビューをお届けしよう。
前年の大会議よりもお金がかかっている!?
── 今回の大会議ツアーは、どういった経緯で企画したんですか?
齋藤P:われわれとしてはニコ動をきっかけに、それぞれの地域でユーザーさんが交流できるきっかけも作りたかったんですよね。あとニコ動がサービスとして勢いがあるところを皆さんに体感してほしかった。
昨年のニコニコ大会議は、JCBホールを借りて派手にやりまして結構盛り上がったんですよね。しかし、その生放送のコメントなどでは「黒字化目指すって割にはめちゃくちゃ金の無駄遣いじゃん!」という指摘を数多く受けました。
そうした声を聞いて反省しまして、「じゃあ今回は小規模にやろう!」ということで、地方を回ることにしたんです。開催場所も小規模なところを借りて、かかるお金を「自重した」わけです。
── しかし、全国8ヵ所も回るのでは、普通に考えて去年よりもコストがかかってしまいそうな気がしますが……?
齋藤P:(多少目線をそらしながら)その通りですね。もっと大がかりなことになってます(苦笑)。
ニコ動が「(9)」になってから、「m9」※1や「⑨」※2と言われたりしていますが、反省しつつも「何やってんのwww」とみんなが一緒に突っこめるような運営らしさが出てしまったというか、そんな感じです(笑)。
※1m9 相手を指差して笑っているところを示すアスキーアート。「プギャー」と呼ばれることが多い。
※2⑨(○内に9) ニコ動内で人気の高い、同人作品「東方Project」に登場するおバカキャラクター「チルノ」を指す。「マルキュー」「バカ」などと呼ばれる。
夏野さんは「ヘドウィグ」のイメージ
ニコニコ動画(9) オープニング映像
── ひろゆきさん(ニワンゴ取締役・西村博之氏)と夏野さん(ドワンゴ取締役・夏野剛氏)がすごい格好をしている写真が公開されていました。あれは何ですか(笑)。
齋藤P:最初は「全国行脚だから三度笠じゃね?」という案もあったみたいですが、「やっぱツアーだったらロックじゃねw」ということで、ああいった格好に決まったんです。そして「やっぱロックだったら派手なオープニング映像必要だよね?」という風に、どんどん黒字化とは逆の方向に進んでしまった。
── 特に夏野さんの格好がいろいろな意味でヤバいです。
齋藤P:実は夏野さんはヘドウィグ※3がイメージなんですよ。僕的にはロックということで、ローリング・ストーンズやレッド・ツェッペリンを想像していたんですが、オープニンング映像を作る演出家さんからの「ヘドウィグがいいんじゃない?」という提案を受けてOKしてしまった。その時、夏野さんがあの格好をするというのを忘れておりました(笑)。
撮影も最初はひろゆきさんと夏野さんだけで撮る予定だったんですが、「バンドだったら4人だよね」と、急遽、私とメガネ(ニコ動運営・奥井晶久氏)も参加することになったんですよ。で、メイクさんにメガネを「マリリン・マンソンっぽくしてください」とお願いしたら、なぜか「デ○ノート」のリュークのような格好になってしまった(笑)。
※3ヘドウィグ ミュージカルや映画として上演された「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の主人公。ロック歌手で男性から女性に性転換した人物(Amazon.co.jpで見る)