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SUPER GTに痛車が参戦! 初音ミクZ4密着レポート 第36回

ミクZ4、SUPER GT最終戦はまさかのリタイア!

2009年11月11日 19時15分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部 写真●加藤智充、水野智子、編集部

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関係者インタビュー

星名代表

 今回は、速くなったからこそのトラブルが続出してしまいました。最後のトラブルは、クラッチのシャフトが折れてしまったんです。オートポリスでもミッショントラブルがあったんですが、もてぎでは何の前兆もなかったんですよ。だから2周目までも普通に走っていたはずです。3周目に突然ですからね。あとはメカさんたちに頑張ってもらったんですが……。セーフティーカーが入ってなかったら、1周くらいはいけたのかもしれませんけど、レースに「たられば」はないですからね。

 今シーズンを振り返ってみると、シーズン前半は去年から続いたエンジンの油圧の問題でなかなか思うようにいかなかったんですけど、その反面でなぜか完走できてしまったりして、でもやっぱりエンジンの問題でリタイヤしちゃったりと、抜け出せない暗闇の中を走っている感じでした。しかし、個人スポンサーの応援のおかげもあって、エンジンも変えることができて、ミッションもトランスアクスルにしたりと、ようやく明るい方向に向かって行くことができました。

 数戦前までは予選を嘆願書で通過していたのに、今では中盤クラスくらいまでなら食い込んでいけるくらい成長できたというのも非常にありがたいことですし、普通に考えたらこれだけの進化をできるチームも少ないんじゃないでしょうか。シーズンの途中であれだけの大改造をするっていうこともありませんし(笑)。他のチームからも、色眼鏡じゃなくて一目置かれるようになりましたしね。

 こういう形で終わってしまったのは非常に悔しいですが、良い1年だったと思います。来シーズンはどうなるかわかりませんが、このまま終わらせるワケにはいきませんよ! まずはホンダ系のサーキットで勝ちたいです!

鈴木監督

 最終戦ということで、なんとか結果を出したかったんですが、こういう結果になってしまい、申し訳ありません。当然、まったくベストな終わり方じゃないんですが、今のチームの状態を表わしているレースだったかなと。良いところも発揮できましたが、悪い部分もあって。速さだけでは勝てないのがレースですね。信頼性とかいろんなものが伴って、エンジニアやメカニック、ドライバー、そして監督や代表、トータルバランスが良くないと勝てないのがSUPER GTなんだなと痛感させられました。そういう意味で、まだまだだな、と(笑)。

 参戦当初からの目的だった「市販のクルマをレーシングカーにしたい」ということだと、やはり結果が出るまで3年はかかるというのが定説で。それを2年くらいでやりたかったのですが、みなさんのおかげで1年半でここまで来れるようになりました。それだけに、ここで辞めたくないという気持ちもあり、来年は参戦できるならしていきたいですね。私個人としては。速さは十分手に入れたので、あとは信頼性をどんどん上げていきたいと思っています。

 前戦と今回の練習走行を見れば、十分シングル順位も狙えるポテンシャルを持っています。来年の目標としては、まずは安定してシングル順位を取れるようにすること、じゃないですかね。1年間、みなさん、本当にありがとうございました!

番場選手

 8月の鈴鹿で初めてこのミクZ4に乗ったときから、もてぎでは良い勝負ができるという実感はありました。ブレーキを始め、改善されればかなり速くなれるポテンシャルを持っていると思っていたんですが、それがオートポリスまでに改善されていて。もてぎでは、このくらいまで行けるという予想を立てていたんですが、予想以上のタイムを出せましたね。ただ、壊れるのは予想外でしたが(笑)。あと決勝での他チームのタイムがあんまり伸びてなかったので、「たられば」になってしまいますが、あのまま走れていたならなあと。

 ミクZ4は、いろんなスポンサーさんの他に、ファンの力で走れていると思っていますので、せっかく応援シートにたくさん来ていただいたのに、みなさんの前で走りを見せられなくて残念です。あと、クラッチトラブルでピットに戻ってきたときなんですが、これ、普通のチームだったら確実にその場でリタイヤを決めますよ。なのに「直そう!」となった。少しでも、1周でもいいからファンのみなさんに走っている姿を見せたかったんです。ちょうど直ったところでチェッカーだったのが無念でしたね。

 このチームに参加する前は、僕はアニメとか全然詳しくないので、ファンの人たちってオタクの集まりなのかと思っていたんですよ。でも鈴鹿で乗らせてもらったときに、「これはなんか違うぞ」と。今まで乗ってきたチームだと、ドライバーのファンはいるんですが、基本的にファンとは距離と壁があるんですよ。なのに、このチームは代表、監督、メカニック、ドライバーだけでレースをやっているのではなく、そこにファンの人も入っているんですよ。全員でチームを作り上げているんですよ。リタイヤして泣くファンの人とかいませんからね。こういう人たちが後ろにいてくれるおかげで、高いモチベーションでレースに臨めるし、みんなに喜んでもらいたいし、僕も喜びたい。ちょっと普通のチームとは違いますよ! また来年も乗せてもらえるなら、ミクZ4をドライブしたいですね!

田ヶ原選手

 フルシーズン、あっという間でしたね。セパンをお休みして、大幅なアップデートをして。と思ったらSUGOで足回りが足りてなくて、鈴鹿で足回りをバージョンアップしたらアクセルワイヤーが切れて、オートポリスで番場選手が加入して。そして最後の最後でリタイヤしてしまって。全部ここで出なくていいことが、全部ここで出てしまった感じですね。

 どうにも噛み合ってなかったんですかねえ。朝のタイヤ間違えみたいな凡ミスも普通ではありえないことですし、さらに今まで一度もなかったタイヤバーストですからね。そして決勝でのクラッチトラブル。前回、ポイントを取ってイケイケモードになっていましたが、調子に乗るなよと、どこかから釘を刺されたのかなあ。確かに上位を争えるチームにはなったんですが、改めてレースの怖さを知りましたね。良いときと悪いときの差が激しいのもこのチームの特徴かな。

 しかし、またホンダ系サーキットでリタイヤというのがね……。ぶっちゃけ、レース前から嫌な予感みたいなのがあって、だからこそ「絶対完走してやる!」って思いだったんです。鈴鹿3戦、もてぎ1戦の4戦中0完走ですから。しかも、どれもこれもなかなかお目に掛かれないトラブルで。まあでも、速くなったからこそ、いろんな問題も出だしたということでしょう。ただ、今回は自分が乗っていただけに責任を感じてしまいますね。最後までミクZ4を導けなかった。言い訳はできません。それが事実です。今回、応援シートで集まっていただいたみなさんにも走ってる姿をあまり見せられずに残念です。

 ですが、まだ夢は終わらないし、終わらせたくありません。来年は番場選手を手助けして、セカンドドライバーとしての仕事をキッチリして、ミクZ4を上位に食い込ませたいですね! そして、今年1年間、チームを応援してくれたファンのみなさん、ありがとうございました!

(次ページへ続く)

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