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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第60回

ブログ指標の業界標準を――TopHatenar開発者が目指すもの

2009年11月09日 12時00分更新

文● 古田雄介

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Googleがフォローしていないニッチな情報をフォローしていく

―― 目当ての食事処を探す「EatSpot」や英文がチェックできる「NativeChecker」、ブログの人気の度合いを調べる「TopHatenar」と、浜本さんが開発したサービスはジャンルが幅広いですね。どんなふうにアイデアを練るのですか?

浜本 共通点があるんですよ。僕の場合、情報を大量に集めて、そのデータの中から面白い部分を見つけ出したり、何か新しい価値を抽出するという点はみな同じです。たとえば、「EatSpot」も大量の飲食店情報があるとき、それをどう活用するかというところが始まりでした。「NativeChecker」もネット上にある膨大な英文ありきのサービスですし。

 IT企業経営コンサルタントの梅田望夫さんが「Googleがインターネット上で情報の整理をしている。その情報の整理こそが人類にとっての今後の課題であり、Googleが巨万の富を得た本質だ」と指摘されていました。それで僕は、やっぱり情報整理の価値というのはあるんだなと思い、Googleがカバーしないようなニッチな部分に目を付けていこうと考えたわけです。

NativeChecker。解説ページには、使い方だけでなく利用例も丁寧に記載されている


―― なるほど。では、ネットで何か情報を探していて「うまく調べられないな」となったとき、「こんなのがあれば便利だな」と思いつく感じでしょうか。

浜本 そうですね。たとえば、Googleで検索すればブログの記事もヒットしますけど、何か思い通りにいかないというかイマイチだと思いませんか。キーワード検索で、その単語が載ったブログの記事は出てくるけど、書いた「人」がつながっていかないんですよね。

 入り口も出口もキーワードだけだから「この人が、こういう記事と、こういう記事を書いています」という検索の仕方はできないんです。でも、ブログというのは書き手の人となりや考え方が重要で、まさに「顔の見えるインターネット」だと思うんですけど、探したい単位が「物」から「人」に移ると思うんです。そういう検索の仕方はできないかと思ったときに、TopHatenarのアイデアがわきました。


―― それでブックマーク数やRSSフィードの購読者数をブログ単位で集計したわけですね。ただ、これだけでは他のブログランキングの延長線かなと思います。そのデータを元に「Blogopolis」という、人気の度合いを「絵」に変えるサービスを組み入れたのが興味深いです。

浜本 最初から融合しようと思っていたわけではないんですよ。TopHatenarを公開してから「あっ、こういうふうになるんだ」と理解できたので、なら視覚化も出来るかも、という感じで、Blogopolisの前身といえる「HatenarMaps」を作ってみたんですね。

 その後、データを地図化するアイデアを活かして、Yahoo!JAPANのニューストピックを集計して、ネット上で話題になっているニュースの勢力図を一覧できる「Newsgraphy」を公開しました。それらを経て、面積側をRSSフィードにして、ブックマーク数をビルの高さにしたBlogopolisを作った流れです。

 だから、僕も最初からこんな感じになるとは思っていませんでした。TopHatenarを作りながらだんだんイメージを固めて、その過程で別のアイデアもわいてくるという感じです。

Newsgraphy。Yahoo!JAPANのニューストピックを元に、話題の分布が見られる。日時を指定することで、話題の変遷を追うことも可能だ


―― ちなみに、新しいサービスを作るには、どれくらいの時間が必要ですか?

浜本 内容によりけりですね。TopHatenarは1日、HatenarMapsは2日と短かったですが、Newsgraphyは2週間、Blogopolisは1ヵ月半かかりましたね。土日はともかく、平日は仕事があるので、だいたい夜0時から3時くらいまでしか使えませんし。

 やっぱり、最初の頃は無邪気に一晩二晩くらいで作っちゃうんですけど、段々と思考実験の時間が長くなっていくんですよ。HatenarMapsのときは規模が小さかったので悩むことなく土地を分けていったんですけど、Blogopolisは規模が大きい上に、要素も複数あります。

 なので、作る途中で「複数のジャンルで人気記事を作っているブロガーさんは、ジャンルごとに敷地を分割するべきか一緒にするべきか」など、色々なことを考えるようになって、すごく時間がかかるようになりましたね。これは自分でも面白い傾向だなと思います。

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