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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第60回

ブログ指標の業界標準を――TopHatenar開発者が目指すもの

2009年11月09日 12時00分更新

文● 古田雄介

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インターネットに触れ、「これはマズい」と一念発起

―― まずは浜本さんのバックグラウンドを教えてください。プログラミングに出会ったのは小学校3年生のときなんですよね。

浜本階生氏。会社ではパッケージソフトの開発をしているという。「個人的な趣味としてウェブアプリを作っています」とのこと

浜本 小学校の先生がたまたま詳しい人で、個人的にプログラムを作って見せてくれたんです。そのとき衝撃を受けたのですが、自分でやるようになったのは中学に入ってからでした。

 それから高校時代までは熱中してデスクトップアプリを作っていたんですけど、大学に入ってからはパソコンから離れました。ちょうど2000年頃ですけど、デスクトップアプリが廃れつつあって、僕もそのまま関心が薄れていったんですよ。大学の合唱部の活動が楽しくて仕方なかったというのもありますね。現在のようにウェブアプリのようなものを作り始めたのは、大学を卒業した2007年頃です。


―― それはどんなきっかけがあったんですか?

浜本 その頃になってようやくまともにインターネットを使うようになったんです。「Web2.0とか終わったよ」と言われるくらいの頃です。よく見たら皆とっくにブログをやっているし、SNSも盛り上がり終わっちゃったあとで、「これはマズいな」と感じたんです。

 やはり僕はプログラマーなので、何かを作ることで追いつかなくてはという感じで、自宅にサーバーを買って、まず最初に「EatSpot」という食べログ.comの飲食店データベースとHeartRailsの路線データベースをGoogleマップに組み込んだサービスを作りました。

EatSpot。予算やジャンル、シチュエーションなどの条件を絞り込んで、指定したエリア内で条件にあった飲食店を探せるサイト。「大量のレストランの中からどうすれば自分の行きたいところを見つけられるか」という着眼点で作ったという


―― そこから複数のサービスを作り出して、いくつかの賞も受賞されていますね。当初感じていた遅れは、いつ頃取り戻したと思いましたか?

浜本 それは自然となくなりました。最初の頃はブログを書くのもすごく難しく感じましたけど、今はスッと書けるようになりましたしね。ただ、僕自身はコンピューターサイエンスの技術でこれといったものがないので、コンプレックスとはいかないまでも、それに近い感情が常にあります。

 だから、賞をもらうのはとてもありがたいんですけど、逆に恥ずかしくもあります。プログラマーなのに、コンピューターサイエンスのバックグラウンドに乏しいという部分があって、それを何かしらで補っているだけですから。すごいサービスを目の当たりにすると、すごく落ち込みますし、凹むことばっかりです。


―― でも、素人の私からしたら、浜本さんの作ったサービスは、プロモーションの面を含めて完成度が高いと思います。すごい技術が駆使されていても、マニア向けだと利用しづらい。たとえば、Web上の英文をデータベースにして正しい英文法を探る「NativeChecker」というサイトでは、サイト概要ページで活用事例まで載せて紹介していますよね。そういう部分を含めてのウェブサービスだと思うんです。企画立案と開発とプロモーションのバランスがよくとれているのが、賞をたくさん獲られる決め手かと思います。

浜本 そう言ってもらえると、ありがたいです。技術に自信がない分、人に見てもらいたいという意識が強いのかもしれません。情報を視覚化するということ自体が、多くの人に見てもらいたいという行為ですしね。使いやすさとわかりやすさを重視して作っている部分はあります。技術一本で勝負しても、今の僕ではすごい人には敵わないですから。

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