インターネットに触れ、「これはマズい」と一念発起
―― まずは浜本さんのバックグラウンドを教えてください。プログラミングに出会ったのは小学校3年生のときなんですよね。
浜本 小学校の先生がたまたま詳しい人で、個人的にプログラムを作って見せてくれたんです。そのとき衝撃を受けたのですが、自分でやるようになったのは中学に入ってからでした。
それから高校時代までは熱中してデスクトップアプリを作っていたんですけど、大学に入ってからはパソコンから離れました。ちょうど2000年頃ですけど、デスクトップアプリが廃れつつあって、僕もそのまま関心が薄れていったんですよ。大学の合唱部の活動が楽しくて仕方なかったというのもありますね。現在のようにウェブアプリのようなものを作り始めたのは、大学を卒業した2007年頃です。
―― それはどんなきっかけがあったんですか?
浜本 その頃になってようやくまともにインターネットを使うようになったんです。「Web2.0とか終わったよ」と言われるくらいの頃です。よく見たら皆とっくにブログをやっているし、SNSも盛り上がり終わっちゃったあとで、「これはマズいな」と感じたんです。
やはり僕はプログラマーなので、何かを作ることで追いつかなくてはという感じで、自宅にサーバーを買って、まず最初に「EatSpot」という食べログ.comの飲食店データベースとHeartRailsの路線データベースをGoogleマップに組み込んだサービスを作りました。
―― そこから複数のサービスを作り出して、いくつかの賞も受賞されていますね。当初感じていた遅れは、いつ頃取り戻したと思いましたか?
浜本 それは自然となくなりました。最初の頃はブログを書くのもすごく難しく感じましたけど、今はスッと書けるようになりましたしね。ただ、僕自身はコンピューターサイエンスの技術でこれといったものがないので、コンプレックスとはいかないまでも、それに近い感情が常にあります。
だから、賞をもらうのはとてもありがたいんですけど、逆に恥ずかしくもあります。プログラマーなのに、コンピューターサイエンスのバックグラウンドに乏しいという部分があって、それを何かしらで補っているだけですから。すごいサービスを目の当たりにすると、すごく落ち込みますし、凹むことばっかりです。
―― でも、素人の私からしたら、浜本さんの作ったサービスは、プロモーションの面を含めて完成度が高いと思います。すごい技術が駆使されていても、マニア向けだと利用しづらい。たとえば、Web上の英文をデータベースにして正しい英文法を探る「NativeChecker」というサイトでは、サイト概要ページで活用事例まで載せて紹介していますよね。そういう部分を含めてのウェブサービスだと思うんです。企画立案と開発とプロモーションのバランスがよくとれているのが、賞をたくさん獲られる決め手かと思います。
浜本 そう言ってもらえると、ありがたいです。技術に自信がない分、人に見てもらいたいという意識が強いのかもしれません。情報を視覚化するということ自体が、多くの人に見てもらいたいという行為ですしね。使いやすさとわかりやすさを重視して作っている部分はあります。技術一本で勝負しても、今の僕ではすごい人には敵わないですから。
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