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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第35回

AMD版CULV?「Congo」を採用したHP dm3aの魅力は?

2009年11月09日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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 今回試用するのは、HPのWindows 7搭載ノート「HP Pavilion Notebook PC dm3」。中でも、店頭販売向けでAMD系のプラットフォームを採用し、同社の分類では「オリジナルモデル」と呼ばれる「dm3a」を採り上げる(発売時期は11月中旬予定)。スタイリッシュと低価格が売りの製品だが、カジュアルなモバイルノートとしての実力は、いかほどなのだろうか。

HP Pavilion Notebook PC dm3

「HP Pavilion Notebook PC dm3」。左は付属のUSB DVDスーパーマルチドライブ


AMDの低価格プラットフォーム「Congo」を採用

 すでに述べたように、今回採り上げる製品はdm3シリーズの中でも、店頭販売向けである「dm3a」だ。これは、末尾の「a」が示すように、AMD系のプラットフォームを採用している。それに対し、直販系(HP Directplus)モデルはインテル系プラットフォームを採用しており、名称も「dm3i」となっている。

 dm3aで使われているのは、AMDが低価格ノートパソコン向けに開発した「Congo」アーキテクチャーだ。これまで同様の市場向けに使われていた「Yukon」の後継アーキテクチャーである。とはいうものの、Yukonが「性能の高い小型ノート」向けであったのに対し、Congoはもう少し上の市場、「一般的なノートを小さく、低コストに」といったところが狙いと言われているので、特質は同じではない。

 搭載CPUはAthlon Neo X2 L335(1.6GHz)で、「低価格なノート向けのデュアルコアCPU」の域を出ない。むしろもっと大きいのは、チップセットがAMD M780Gとなり、グラフィックスコア(GPU)が「Mobility Radeon HD 3200」になった、という点だろう。ゲーム向けのGPUとしては決して高性能なものとは言い難く、過大な期待は禁物である。だが今後の用途を考えると、なによりH.264/AVCのHD映像の再生支援を行なう、「AVIVO HD」が組みこまれていることが重要だ。

 Yukonまでは、HD解像度のAVC映像の再生支援には、別途独立タイプのGPUを搭載する必要があったし、dm3のインテル版(dm3i)でも、標準採用のGS45 Expressでは再生支援に対応していない。dm3iの上位モデルでは、別途GeForce G105Mを搭載して実現している。

 今回、テストのためにAVCHDのビデオカメラで撮影した、1920×1080ドット/ビットレート16Mbps/VBRの映像を再生してみたが、Windows 7付属のWindows Media Player 12の場合、再生中のCPU負荷はおおむね20%~40%程度と、CPU性能などを考えるとかなり余裕のあるレベルで推移していた。dm3aは光学ドライブを内蔵しておらず、付属のUSB光学ドライブもDVDスーパーマルチドライブなので、「これでBlu-rayも……」というわけにはいかない。だが、ビデオカメラが「AVCHDでHD解像度が当たり前」、という時代に突入している以上、このくらいの映像を軽く再生できる機能は、ピュアなモバイルノート以外では、そろそろ必須に近いレベルになっているのではないだろうか。そういう意味では、dm3aは十分合格だ。

動画再生中のCPU負荷

動画再生中のCPU負荷。フルHDのAVCでこの程度の負荷で済むなら、性能は十分なレベルと考えていいだろう

 ただし、こういった再生支援が効くのはWMP12などの「対応プレイヤーソフト」を使った時だけで、Flash系のプラットフォームを使う、ウェブ上の動画では再生支援が使えない。例えば、YouTubeのHD動画やニコニコ動画の高画質・高ビットレート動画などは、CPU負荷がかなり高くなる。720pのYouTubeなら80%前後で済むが、フルHDも出始めたニコニコ動画の場合、100%に貼り付く例もあった。とはいえ、さすがにコマ落ちするところまでは行かないあたりは、ネットブックとは違う。

 なお、映像再生を中心としたAV用途を重視しているためか、スピーカーの音質はなかなかだ。手前のパームレスト下に組みこまれているが、音が机に当たってから聞こえるような感じだ。低音や反響の具合も悪くない。

ALTEC LANSINGのステレオスピーカーが本体下部に

ALTEC LANSINGのステレオスピーカーが本体下部に。机に反響させて音響効果を高めるタイプのものだが、内蔵スピーカーとしてはそこそこいい音を楽しめる

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