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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ

デジタルを味方につけろ!

2009年11月05日 06時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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ガボンで<manga>が検索される理由とは?

 さて、こうした話のためにプレゼンテーション資料を作っているときに、わたしの席のまわりでちょっとした議論があった。グーグル インサイトで、「manga」と入力すると、フィリピン、インドネシア、マレーシア、マダガスカル、ペルーなどといった国々の名前が並ぶ。グーグル インサイトは、キーワードの人気度を示す指標なので、これらの国で「manga」という単語の人気が高いとういことを意味する。注意しなければいけないのは、「manga」という単語での検索の総量による国別ランキングではなく、その国で「manga」という言葉の人気が高い順のランキングである点だということなのだが。

 東アジア一帯で日本のマンガが翻訳出版されていることを考えると、フィリピンやインドネシア、マレーシアなどで「manga」という単語が検索されるのはわかる。しかも、これらの国々ではまだネットを使える人たちが学生など若い層の比率が高いことから「manga」のワードパワーが大きいことも想像の範囲だろう。しかし、わからないのは4位のマダガスカルや10位のガボンである。マダガスカルは、アフリカ大陸の南東に位置する、シーラカンスで有名な島国なのはご存じのとおり。ガボンは、中部アフリカにあって、赤道ギニア、カメルーン、コンゴと隣接した人口150万人の小国である。

 これらの国から「manga」という単語の検索がさかんに行われているというわけで、「マダガスカルには<manga>という地名があるんですよぉ」とか、「ガボンには<manga>という芸能人がいるんですよぉ」というような議論になったわけだ。ところが、グーグル インサイトでは、その単語(いまの場合「manga」)と一緒に検索された関連語についても、そのランキングが出てくる。それによると、「naruto」などといった作品名や「sub」など配信関連の単語が並んで出てくる。

興味ジャンル

経産省がJAPAN EXPOの会場で行ったアンケート結果。ジャパンコンテンツの興味ジャンルは、マンガ、アニメ、音楽の順となっている。(信谷氏のプレゼンテーションより)。

認知経路

ジャパンコンテンツの認知経路については、Webでの認知が圧倒的に多いことがわかる(信谷氏のプレゼンテーションより)。

 そこで思い出したのは、今年7月、JAPAN EXPOでパリを訪問したときに起きたちょっとした出来事だ。わたしと、ジャーナリストのエチエンヌ・バラール氏、東京MXテレビの粟野氏、弊社の『電撃大王』の編集2人も一緒だったのだが、地下鉄の中で見知らぬアフリカ人から声をかけられた。わたしに向かって「日本人ですか?」と声をかけてきたのだ。

 ちょっと驚いていると、彼は、自分がマダガスカルから来たミュージシャンで、日本のマンガが好きで日本語を勉強していると説明した。「ワンピース」や「ドラゴンボール」のファンだというのだ。そこで、「マダガスカルでは日本のマンガは売っているのか?」と聞くと、「売っていない」という。つまり、グーグル インサイトでの検索結果がここで一致する。彼は、もっぱらネットでマンガを読んでいるのではないだろうか? 日本のマンガ、アニメといったコンテンツを海外で最も消費している国のひとつはフランスで、マダガスカルとガボンに関して共通して言えるのは、フランス語圏だということもあるのだが。

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