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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第94回

デザインから考える、ケータイのこれから

2009年11月05日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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ケータイデザインへの興味の変化

MEDIA SKIN

MEDIA SKIN。カラーバリエーションによって手触りが違う点もユニークな、フリップタイプのミニマルデザインだった

 最近、とあるプロジェクトと研究を兼ねて、女性のiPhoneユーザーにインタビューを進めている。ケータイ上でのコミュニケーションを一般化したのが女性への普及をきっかけにしているとすれば、女性ユーザーが都市部で増えてきたことは、iPhone定着と新しいニーズが生まれる兆候だと思ったからだ。

 その成果はまた別の機会に披露するとして、最近のインタビューからケータイとデザインに関係する点を紹介したいと思う。

 まず29歳の教師をしているAさんは、ずっとau design projectの端末を使ってきた筋金入りの“デザインケータイ”ファンである。初代INFOBARに始まり、INFOBAR 2、MEDIA SKINと使ってきて、iidaシリーズを見ながら乗り換え時期を探っていたものの、気に入るものがなくiPhoneに乗り換えたそうだ。

 「ストレート型端末か、デザインが気に入るものを待っていたのですが、結局iPhoneにしました。確かにau design projectの端末は持っていて楽しかったのですが、待っていてもこういう端末がいつ出るかわからないし、自分ももう外見のデザインはいいや、と思いiPhoneの白か黒かで選びました」(Aさん)。

INFOBAR 2

INFOBAR 2。細身のストレートな端末として、最高傑作の称号を贈っても良い存在だと思う。有機ELディスプレイ、大きめながらボディラインを崩さないボタンなど、非常に触った時の心地良さがある

 一方20歳の大学生であるBさんもこれまでauのデザイン端末を使っていたが、ゼミでiPhoneとTwitterを自慢されて、iPhoneに乗り換えたという。

 「iPhoneはデザインというより、アプリでいろいろな機能が増える点がおもしろいと思いました。いままでmixiだけでしたが、Twitterにハマり始めて、便利なアプリが揃っていて増え続けているところに未来を感じます。愛用していた『ほぼ日手帳』から、iPhoneだけでメモやスケジュール管理をするようになりました」(Bさん)。

 AさんもBさんも、iPhoneのデザインに対してはあまり高い評価を与えていないばかりか、いまだにINFOBAR2やMEDIA SKINの方が好きだという。それでもiPhoneを選んだ点は、デザインの興味・重点が外見から内面や機能性に移りつつあることを表している。では、コミュニケーションの中で、どのようなデザインが求められるのか。

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