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「Gartner SYMPOSIUM ITXPO 2009」

IT支出額は来年回復。ただし日本以外……

2009年10月26日 09時00分更新

文● 吉川大郎/TECH.ASCII.jp

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不確実な世界を乗り切る
4つの選択軸

4つの視座

4つの視座

 では、具体的な戦略の方向性はどうなのだろうか? 山野井氏は、4つの軸を示した。

Control(制御) or Autonomy(自律)
「Control」とは、ガチガチにガバナンスを利かせる考え方で、コスト削減という面では強くなる考え方だ。しかし今後、成長戦略に移った場合は「Autonomy」=現場の自立性を高める、つまり“個人力”をどう評価するか? が、カギになってくる。
In Here(社内) or Out There(社外)
情報の可視化ということはよく言われるが、それらは従来財務情報や在庫情報だった。今後は、たとえば社外にある顧客のニーズやシーズをいかに取り入れていくかが重要になる。
Owned(所有) or Shared(共有)
“クラウド”というキーワードにもつながるが、所有するか共有するか? という視点が、重要になってくる。
Complex(複雑) or Simple(単純)
ただでさえ企業システムは複雑でサイロ化している。単純化できるものは、単純化すべきだ。

 これら両軸の割り切りを明確に出すかどうかが、今後の企業の戦略を決めていくというのが、ガートナーの主張である。

 次に山野井氏が示したのが、「攻勢を担うITの活用機会を追求する」と題したパネルだ。この中には、

  • BI
  • 仮想化
  • ソーシャルメディア
  • パターン・ベースド・ストラテジ
  • コンテキスト認識コンピューティング
  • オペレーショナル・テクノロジー

といったキーワードが並んでいる。BIについては、“来る来る”といってなかなか普及したとまでは言えないが……、としながらも、情報の可視化は直近で重要な課題であり、今後は注目される。技術的な面では、クラウドの前提技術である仮想化や、前述したとおり社外の情報を取り込んでいくためのソーシャルメディアツールもクローズアップされる。そして、センサーなど、コンテキストを認識できるコンピュータの技術が重要になってくるという。

 ここで強調されたのが、「パターン・ベースド・ストラテジ」だ。これは、仮説検証の繰り返しで勝ちパターンを見いだし、見つけたら横展開していくというもの。従来は「センス・アンド・レスポンス」というわけで、気づいたらすぐに行動を起こすことが重要だったわけだが、それだけでは不十分。山野井氏は「シーク・アンド・アクション」という言葉を使ったが、積極的に社外に調べに行って、試して、勝ちパターンを見つけて横展開……という行動原理が重要になってくるのだという。

 また「オペレーショナル・テクノロジー」は、見慣れない単語だが、これは「IT」の対語として考え出されたもの。ビジネスのオペレーションそのものをテクノロジーで支援する領域であり、具体的にいえばFA(ファクトリー・オートメーション)もこの範疇に入る。従来は製造業中心だったこうした考え方が、今後はそれ以外の業種にも発展していくだろうというのが、ガートナーの考えだ。

 最後に、調達の厳格化、支出の最適化、情報可視化・プロセスの効率化、アプリケーション資産の棚卸し、レガシーの近代化、ITセキュリティの強化といった守勢のアクションは継続し、完遂させるべきと唱え、山野井氏は話を終えた。

 日本のみ攻守反転のタイミングが遅れるというのは、なかなかショッキングな見通しではあるものの、世界的に見ればいよいよ来年からは攻めの年。そのために企業がなすべきことは何か? 2010年、2011年と、従来とはまったく違う世界になるという見解は、図らずも先日ウイングアーク・テクノロジーズの内野弘幸氏のものと合致している(関連記事)

 技術的には「クラウド」、世情的には「リーマンショック後の世界再構築」というのが、今後の大きな方向性を決めるうえでのキーワードであり、その中でITはどのような働きをしていくのか? ガートナーの提示には、さまざまな示唆が含まれていた。

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