ガートナー ジャパンは、米国・カンヌ・東京・シドニーを巡って開かれる「Gartner SYMPOSIUM ITXPO 2009」の、東京開催(11月11日〜13日)の説明会をプレス向けに行なった。「来年からIT投資は上向きになる」と、ガートナーの予測は明るいものだが、単に今まで通りのやり方でいいわけではない。ではどうするか? どうなるか? シンポジウムでは、ガートナーの分析結果と主張が披露される。
来年から回復基調
しかし日本だけはダメ
説明会冒頭、ガートナー リサーチ グループ・バイス・プレジデントの山野井 聡氏は、今年のキーメッセージ「バランシング コスト リスク アンド グロウス」について語った。英語の意味するところは文字の通りだが、山野井氏は東京開催にあたり、あえて意訳をして「視界ゼロ時代の競争と成長」としたという。
来年景気は良くなるかもしれないが、だからといって先行きはわからない。確実性が乏しい環境を是として受け入れ、そのうえで成長戦略をとるべきではないか? という提言が、このタイトルには込められているのである。
衝撃的なのは、山野井氏が示した地域別IT支出額の予測マップだ。各国とも、来年から回復基調になってくるという予想だが、なんと日本だけがマイナス成長になっているのである。
日本の回復が遅い理由は、前年対比での落ち込みが、今まで見たことない大きさであったというのが1点。もう1点は、日本の企業はIT投資に慎重なため、前回の景気低迷の際にも、景気低迷を抜けてからIT投資が上向くまでの世界と比べたラグがあた。今回も同様に、世界よりも日本はラグがあるだろうという見解である。
いずれにせよ、アジア太平洋地域は力強い反転の兆しを見せているものの、日本はマイナス。依然として状況は厳しい。
もっとも、日本も回復基調には遅ればせながら向かっていくわけで、回復への反転を大前提としたIT戦略立案を、CIOは問われる。景気そのもの=経営環境は今後上向いていく。今までのコスト削減、リスクヘッジ偏重の“守勢”から、成長貢献への“攻勢”への過渡期になる。来年は、こうした過渡期にあたり、回復は2011年から本格的な兆しが見えてくるだろう。
しかし、そこに現出するのは今までの世界ではなく、「不確実」「不連続」が常態になるというのが、ガートナーの見方だ。
また、ガートナーの造語である「リアル・ワールド・ウェブ」の到来も視野に入れなければならない。これは、Webが生活習慣の一部になっている状況を示した言葉であり、パーソナライゼーションとグローバリゼーションの加速という状況もこめられたこの言葉を前提に、物事を語る必要がある。
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