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週刊 PC&周辺機器レビュー 第28回

薄い軽い長時間が揃った究極のモバイルノート VAIO X

2009年10月23日 16時00分更新

文● 柳谷智宣

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WWANかWiMAXのどちらかを内蔵可能

 VAIO Xの無線通信機能は、WWANかWiMAXのどちらかを選択して内蔵できる(店頭販売モデルはWWANモデルのみ)。WWANはNTTドコモのFOMA HIGH-SPEED対応で、最大受信速度は7.2Mbps。GPS機能も内蔵する。WiMAXは最大受信速度約13Mbpsと高速だが、今のところ対応エリアが狭い。

 また無線LAN機能は、11a/b/g/n対応(最大300Mbps)と11b/g/n対応(最大150Mbps)のいずれかを、Bluetooth 2.1は搭載/非搭載から選べる。ExpressCardカードスロットはなく、USBも少ないので、内蔵通信機能が充実しているのはありがたい。

 液晶ディスプレーのサイズは11.1型ワイドで、解像度は1366×768ドット。明るさはそこそこで、視野角は広い。LEDバックライトを使用し、色再現性はNTSC比100%。モバイルノートとはいえ表示品質は良好だ。写真や動画を人に見せる際に活躍するだろう。液晶ディスプレー上部には、31万画素のウェブカメラを内蔵している。

VAIO Xのキーボード

VAIO Xのキーボード

 キーボードはキーピッチが17mmで、キーストロークは1.2mm。キーが飛び石状になっている「アイソレーションキーボード」タイプのため、キートップのサイズは幅13mmと小さめだ。タイプ感は手応えがあり、押し込んでもたわむようなことはない。高速タイピングでも安定して入力できる。タイプ音はやや耳に付く。

 一方、タッチパッドは53×39mmと幅が狭いのは残念だ。表面はマットな手触りで、ジェスチャー機能にも対応しており、スムーズに操作できる。ボタンの奥行きは13mmと十分だ。ボタンの遊びは少なく、適度なクリック感があり、こちらの操作感も上々だ。


性能はそこそこだがWindows7は動く

 内蔵チップセットはIntel US15Wで、CPUはAtom Z550(2GHz)。CTOメニューで最上位のCPUとはいえ、Core 2 Duoと比べれば性能は低い。Windows 7の「エクスペリエンスインデックス」でチェックしたところ、CPUは「2.7」、ゲーム用グラフィックは「2.4」という結果になった。一方でメモリーは「4.3」、SSDは「6.3」と高評価になっている。ベンチマークソフト「CrystalMark 2004」で計測しても、CPUとグラフィックの性能は控えめだ。

Windowsエクスペリエンスインデックスの値

Windowsエクスペリエンスインデックスの値。ゲーム用グラフィックスが非常に低いのはしかたない。なお、Vistaの値とは上限値が異なるので、直接比較はできない

「CrystalMark 2004」でのベンチマーク結果

「CrystalMark 2004」でのベンチマーク結果。こちらもCPU性能(ALUやFPU)やグラフィックス(GDI、D2D、OGL)は低い

 「CrystalDiskMark」でSSDのデータ転送速度を計測したところ、連続読み込みで75MB/秒となかなかの結果が出た。SSDなので書き込み速度は48.4MB/秒と落ちるが、それでも高速だ。

「CrystalDiskMark」での計測結果

「CrystalDiskMark」での計測結果。読み込みはさすがに速い

 しかし、VAIO XでWindows7を使っていても、ストレスは感じなかった。ある意味「VAIOらしくない」とも言えるが、標準のテーマでAeroを無効にしたり常駐プログラム・サービスを減らしたりと、できるだけ軽快に動かせるようにしているのだ。ウインドウを開いたりソフトを操作する時に、一呼吸待たされることはあるが、フリーズしたように処理が止まるようなことはなかった。

 メールやウェブ閲覧、オフィス文書の編集など、モバイルノートでの一般的な用途なら、問題なく利用できる。Aeroを有効にして使ってみたが、あまり速度は変わらないように感じた。動作保証外になるが、AeroスナップやAeroシェイクといったWindows 7の新機能が使いたいなら、あえてAeroを有効にするのもありだろう。

 CPUに消費電力の小さいAtomを採用したおかげで、バッテリー駆動時間が長いのも特徴だ。リチャージャブルバッテリーパックはS、L、Xの3種類が用意されており、それぞれ最大4~5時間、8.5~10時間、17.5~20時間駆動が可能という。試用したモデルにはLバッテリーが搭載されており、「BBench」で計測したところ、駆動時間は約4.9時間だった。


突き抜けたモデルだが一般ユーザーにも受け入れられそう

 VAIO Xは尖ったコンセプトのノートだが、「薄い・軽い・長時間駆動」の3拍子が揃っているので、モバイルノートを探しているすべてのユーザーにとって魅力的に映るはずだ。しかも、VOMモデルが約9万円から、店頭モデルが11万円前後というお手頃価格も見逃せない。6~7万円のネットブックを買うなら、もう少しがんばってVAIO Xを手に入れた方が、はるかに満足できるだろう。

 本格モバイル指向でも、処理能力だけ妥協すればいい。コストパフォーマンスは高く、広く人気を集めることだろう。

VAIO X(VOMモデルの評価機) の主な仕様
CPU Atom Z550(2GHz)
メモリー 2GB
グラフィックス Intel US15Wチップセット内蔵
ディスプレー 11.1型ワイド 1366×768ドット
ストレージ SSD 256GB
無線通信機能 3G WWAN(FOMA-HIGHSPEED)、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1
サイズ 幅278×奥行き185×高さ13.9mm
質量 約765g
バッテリー駆動時間 約10時間
OS Windows 7 Home Premium 32bit版
予想実売価格 8万9800円から

筆者紹介─柳谷智宣

1972年生まれ。Netbookからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。現在使っているノートPCは、東芝のSS RXとMac。とはいえ、1年以上前の製品なので、買い換えを思案中。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、PCやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)。


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