ノートPCやネットブックの普及は、仕事を便利にしてくれる反面、情報漏洩というリスクを増大させることになる。従来から、TPM(Trusted Platform Module)準拠のセキュリティー・チップを搭載するなどして、万一HDDを抜き取られても読み出せなくする機能を搭載するノートPCはあった。しかしこれでは、依然としてHDD上にデータが存在するため、悪意のある第三者に読み出されるおそれが残っている。
富士通研究所が19日に発表した技術は、HDD自身が自己消去することで、そうした心配を払拭してくれる。
これはHDDが接続されているPC環境を認証し、異なるPC環境から読みだそうとした場合、OSの起動に先駆けてHDDの消去を行なう(もしくはHDDの起動を中止する)というもの。HDDのセキュリティーに関する業界標準技術「Opal Security Subsystem Class」に、PC環境の認証とHDD自動消去のためのソフトウェアを追加して実現している。HDD単体で実装でき、ハードウェア(TPMチップ)などの追加は不要。認証済みのPC環境(詳細は非公開だがCPUの固有ID等をチェックしていると思われる)であれば、自動的に通常の起動手順で動作するため、ユーザー側の負担も増えないという。
同社では、今年4月に自動データ消去機能を搭載した「安全USBメモリ」を開発しており(関連記事)、今回はHDDにも対応した。今後は2009年度中に技術の完成度を高め、2010年度中の実用化を目指すとしている。