IOSもユニバーサルイメージに
野心的なCisco SREも披露
ISR G2ではシスコルータが搭載するソフトウェアであるIOSも大きく変更。今までは複数のトラックで異なるIOSが提供されていたが、今回から共通のユニバーサルイメージを採用。ライセンスの導入で機能を追加するという形態に変更される。ISR G2で搭載される最新のIOS 15.0(1)Mでは、さまざまな機能が追加されており、一例としてはCisco Performance Routingという機能が紹介された。これはリアルタイムにパフォーマンスを計測し、経路を決定できるもので、WAN回線の冗長化などで利用できるという。「通常のルーティングに付加機能を加えたもので、アプリケーションの特性に応じて経路を決定できる」(大木氏)。
また、ISR G2の目玉ともいえるのが幅広いサービス拡張を実現する「Cisco SRE(Cisco Services Ready Engine)」だ。Cisco SREはx86ベースのCPUやストレージを搭載するサーバで、モジュールとしてISR G2に追加することができる。そして、このCisco SREにサードパーティも含めたモジュールをダウンロードし、さまざまな機能を追加することが可能になった。具体的にはWAN高速化、無線LANコントローラ、ネットワーク解析、IPS、音声サービスなどが提供される。また、「AXP(Application Extension Platform)」というLinuxベースのアプリケーション実行環境が提供され、サードパーティのアプリケーションを動作させることも可能になっている。
グリーンITに関しても配慮されており、Cisco EnergyWiseやRoHS規格をサポートするほか、エネルギー効率性能も大幅に向上。また、照明・空調の制御や電力使用量の測定・表示を可能にする「BX-Office」を前述したAXP上に搭載する。これにより、会議予約アプリケーションやIP対応の照明・空調機器と連携し、会議室の入室時に空調や照明をON/OFFすることが可能になる。
また、細かいところでは、伝統的にシリアルケーブルでのコンソール設定を提供してきたシスコだが、USBによるコンソール設定もサポートした。
写真で見るCisco ISR G2の製品ラインナップ
これらISR G2の製品は大きく3シリーズがラインナップされる。小型筐体のCisco 1900シリーズでは、1941とワイヤレス(IEEE802.11n)オプションを内蔵する1941Wが用意される。SM/DSPスロットはないものの、3G/HSPA、シリアル、Ethernetなどのさまざまなインターフェイスに対応する。
Cisco 2900シリーズは、すべてのモデルでギガビットEthernetを搭載する。ISMスロットを1つ、EHWICスロットを4つ搭載しており、SM/DSPスロットや搭載WANポートの数によって、2901、2911、2921、2951の4モデルが用意されている。こちらはサービスモジュールやDSPモジュールの搭載が可能だ。
ハイエンドのCisco 3900シリーズは、3Uのラックマウント筐体を採用した拡張性の高いプラットフォーム。4つのSMスロットを搭載した3945と、2つのSMスロットを搭載した3925の2モデルがラインナップされている。オンボードで3つのギガビットEthernetを搭載するほか、冗長電源をサポート。さらにSPE(Service Performance Engine)というマザーボード自体の拡張が可能になっている。
また、同時にサービス集約型ルータであるASR 1000シリーズのローエンドモデル「Cisco ASR 1002-F」を投入した。
「5年ぶりの新製品ということで、この日を待ちわびていた。非常に野心的な試みで、ルータの位置づけが変わる」(大木氏)とアピールされたISR G2。特にルータのプラットフォームをオープン化したSREに関しては、今後は仮想化の技術も導入されるとのことで、大きな可能性を秘めている。