弱点はあるものの長所を考えるとやむを得ない
もっとも、小さく収められているだけあって機能的な省略があるのも確かで、給紙カセットは1段(250枚)のみで増設はできず、あとは多目的給紙トレイ(1枚挿し)があるのみだ。また、自動両面プリント、自動両面スキャンも省略されているのは残念だが、これは特にADF部分のコンパクトさ(給紙枚数35枚)を考えればやむをえないところだろう。
基本機能はプリンター(600dpi)、スキャン(CIS、1200dpi)、コピー(ファクスは搭載していない)で、特にLEDヘッドを含めた印刷ユニットを各色分並べたタンデムエンジンにより、カラーもモノクロも16ppmという同じ速度となっているため、モノクロ機とカラー機を使い分けしなくて済むのが大きい。操作パネルもシンプルにまとめられているが、液晶が日本語(漢字)表示とはいえ2行のみなのはやや物足りないところではある。
有線LANでネットワークに接続し、ネットワークプリント、ネットワークスキャン(PC側から操作)に加え、複合機からの操作でネットワーク内のPCや社内共有フォルダへファイルを転送する「プッシュスキャン」にも対応している。この機能は、ビジネスで使う複合機にとっては必須と言える。また、スキャン結果のPDF化も本体側で行なえるほか、PC側のソフトと組み合わせてスキャン to Eメールやスキャン to OCRなどの機能にも対応する。
PDFのセキュリティ機能にも注目したい。スキャン時にPDFにパスワードを掛け、ファイル転送先のPC側でパスワード解除して読むという方法が採れるほか、PCからのプリント時も、パスワードをかけての印刷が可能なので、排紙トレイに溜まった印刷物から情報が漏洩するといった事故も防げる。
★
ページプリンターをベースとしたカラー複合機としては、拡張性や給排紙トレイの枚数、ADF給紙の少なさなど、機能面がややシンプルという印象は否めない。しかし、低価格ながらオフィスユースで必要とされる機能はしっかり押さえている点こそ重要だ。
また、ファクスを搭載しないことから、ファクスがすでに用意されている企業内ワークグループで使用する機種と言えるが、ファクスをもはや必要としないSOHOユースにも利用できそうだ。SOHO、特に自宅オフィスではカラーインクジェット複合機のほうが向いているというイメージを持つ方もいるだろう。しかし、カラーにも関わらずコンパクトなボディと、なにより6万円台という手頃さはSOHOにとっても大きな魅力となるはずだ。
プリント方式/解像度 | LED方式/600×600dpi |
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印刷速度 | 最高16ppm(カラー/モノクロ) |
プリント給紙枚数 | 250枚(カセット)+1枚(手差しトレイ) |
スキャナー方式 | CIS |
スキャナー光学解像度 | 1200×2400dpi |
ADF給紙枚数 | 35枚 |
インターフェイス | USB2.0、有線LAN |
本体サイズ | 428(W)×491(D)×401(H)mm |
重量 | 約22.9kg |
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