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ワンボディで驚異の7.1chサラウンド! ヤマハ「YSP-4100」

2009年10月21日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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編集部の室内で設置してみたときの状態。37V型のテレビと比べるとかなり大きい。ただし奥行きが薄いのでテレビの前のスペースなどでも置くことは可能

編集部の室内で設置してみたときの状態。37V型のテレビと比べるとかなり大きい。ただし奥行きが薄いのでテレビの前のスペースなどでも置くことは可能

実際にスピーカーを置いて聴くのとほとんど差がない
リアルな7.1chサラウンド

 YSP-4100は、内部に40個のビーム用スピーカーと2個のウーファーを内蔵。40個のスピーカーが高精度に制御され、7.1chのサラウンドを再現する。

 この仕組み自体は(チャンネル数が増えていることを除けば)従来のYSPシリーズと同じ。実際に音を聴いてみると、斜め後ろの音がリアルに再現され、初めて聴く人だとその音のリアルさにびっくりするだろう。

 YSP-4100では7.1ch化によって後方の音の再現性がさらに豊かになったと感じた。従来機は確かに斜め後ろの音はしっかりと聴こえるのだが、真後ろの音は苦手で音が聴こえない、というより真後ろだけサラウンド空間がつながっていないような物足りなさを感じることがあった。しかし、本機の場合は真後ろまでしっかりと音がつながり、ひとつのサラウンド音場に包まれているような効果が高まった。

新採用となった「5ビーム+2」のインジケーター表示。7.1chのソースだけでなく、ステレオ音声や5.1chサラウンドでも7.1ch化して再生できる

新採用となった「5ビーム+2」のインジケーター表示。7.1chのソースだけでなく、ステレオ音声や5.1chサラウンドでも7.1ch化して再生できる

 例えば、アクション映画などで前後に移動する車の排気音や、銃撃音のような効果音の移動感はかなり明瞭で、普段聴いている(複数スピーカーによる)6.1chサラウンドの音にかなり近い。また静まりかえったビルの廊下に響く足音など、その場所の空間を感じさせる反響音の再現もかなりリアルだ。

 これだけのサラウンド空間の再現をワンボディで実現してしまうのはさすがだ。リアルなサラウンドの再現を追求すると、どうしても実際に後ろにスピーカーを置きたくなってしまうが、本機ならばワンボディのままで、十分と言える本物のサラウンドを楽しめる。

 サラウンドだけでなく、音楽などで音質的な実力についてもチェックしてみた。低域から高域までフラットなバランスで、音色はナチュラル。内蔵ウーファーもわりと低音は伸びており、音楽やテレビドラマなどなら不満は感じない。映画などを見ると爆発音などでより重低音が欲しいと感じる程度。その場合はサブウーファー出力も備えているので、別売のサブウーファーを追加するといいだろう。

 気をつけたいのは、本機の設定メニューにある「低音増強機能」。これを使えば、内蔵ウーファーだけでも低音は増強されるが、個人的には中~低音域が増強される分、ボーカルやセリフが不明瞭になってしまうように感じた。好みにもよるが、低音増強をしないと重低音が物足りないという人は素直にサブウーファーを追加した方が音質的には良いと思う。


ひと手間かければさらなるリアルサラウンドの世界へ……

 YSPシリーズの第1号機(YSP-1)は、そのリアルなサラウンド再現に驚かされたものの、壁の反射を利用するという特性上、使いこなしがやっかいだという印象を持ったことを覚えている。例えば、テレビおよびYSPは壁面の中央付近に置いた方が左右のバランスが揃いやすいし、高さも自分でYSPの向きを調整してやらないと音像と画面が一致しにくかった。部屋の左右の環境を整えるなどは、オーディオの基本ではあるが、それらへの影響が大きく、ルームアコースティック次第で効果がよくわからないと感じた人も多いのではないだろうか。

 こんな苦労も、自動音場補正機能の「インテリビーム」が採用されて解消した。インテリビームでは、環境に合わせた音場の最適化だけではなく、最適な音の定位が得られるようにビームの反射角の微調整なども行なってくれる。このほんの1分足らずの自動調整だけで、100点満点中70点のサラウンド効果が得られる。ほぼ及第と言える得点だ。

 しかし、あとひと手間加えれば、90点までは持ち上げられる。せっかくこれだけの実力を持つのだから、手間を惜しむのはもったいない。それを実現するのが「詳細設定」だ。

設定メニュー。ここの詳細設定を選ぶと自分の耳でサラウンド効果を微調整できる

設定メニュー。ここの詳細設定を選ぶと自分の耳でサラウンド効果を微調整できる

 その前に、自動音場補正機能の正しい使い方を簡単に紹介しよう。これは、本機だけでなく、AVアンプなどの自動音場補正でも使えるものだ。それは、補正用のマイクをカメラの三脚などに固定する方法。普段視聴するソファなどにマイクを置いただけでは、耳の位置とは高さが違ってしまう。自分で耳の位置にマイクを持ち上げるのもよくない。調整中にマイクの位置が動いてしまっては正しい測定ができなくなる。ほんの数cmのマイクのズレでも、音響特性の測定結果は大きく変わってしまうのだ。

 そして、自動補正を行なっている最中は部屋から出ること。これは人間自体が音の反射や吸音をしてしまうので、その影響を防ぐため。部屋の隅に居ればいいと思いがちだが、特にYSP-4100の場合は壁の反射を利用するので、壁際にいるのは良くない。ほんの数分のことだし、部屋の外で待っているのが正しい。

 そのほか、測定中は不要な騒音も測定の精度に影響があるので、できるだけ静かな時間帯を選ぶことも重要だ。とはいえ、測定のための信号(いわゆるホワイトノイズなど)が盛大な音量で再生されるので、深夜はやめておいた方がいいだろう。個人的には休日の午後などが比較的測定しやすいと感じている。

 そして、正しい測定と調整が完了したら、見慣れた映画や音楽などでサラウンド感をチェックしてみよう。これだけでも十分に後方の音まできちんと再現されていることに気付くはずだ。

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