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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第92回

モバイルアプリを実際に作るにあたっての考察

2009年10月20日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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ただいまアプリ、作ってます。

 東京の街で動いていると、iPhoneに限らず、BlackBerry、Androidなどのスマートフォンを街中でしょっちゅう見るようになった。体感的に“本当に増えてきた”感覚。特に最近は女性がiPhoneを持ち始めたという印象が強い。

 またネイルをしていると邪魔、というタッチパネルへの「印象」も使い始めれば変わり、すぐに長文のメールを打てるようになってくる。結局文字入力は慣れが一番の上達の方法なんじゃないか、と思えてくる。

 先日のBluetoothの記事で、ハンズフリー通話を街中で喋るのは気が引けるという話を書いたが、一方でiPhoneに付属する白いイヤホンマイクでのハンズフリー通話もしばしば見かけるようになった。音楽を聴きながら歩いているときに電話がかかってきて、そのまま手元のスイッチに触れて喋り始める、という動作の自然さがポイントなのだろうか。

 自然な便利さは生活に定着する。そこにどんなアプリを投じることができるか、というの点も僕が最近考えている1つのポイントだ。

オープン・リール・アンサンブル

オープンリールをiPhoneからコントロールしてサウンドを作り出す、オープン・リール・アンサンブル。操っているのは和田永氏。iPhoneのコントロールアプリを活用して、自作の楽器を操るパフォーマンス

 たとえば前回紹介したセカイカメラも、街でカメラを構えることが自然で便利な日常になればよいのだ。最近マクドナルドでおサイフケータイをかざす風景と音をしょっちゅう見聞きするが、“お得”というのも1つのキッカケになりえるだろう。実際には“お得”なシステムを個人で作るのはなかなか難しいのだが。

 この自然さや日常になるということには、ポケットの中にあるスマートフォンという特性が効いている。逆に考えるとモバイルで何をやりたいか、何を便利にしたいか、と言う発想でアプリを作ることがポイントと言うことになるのではないだろうか。

 その中でも僕が特に考えていることは、場所に関係するもの、自分の履歴になるもの、リアルタイムな環境の変化である。セカイカメラやTwitterの「情報のフィルター」はこれらの要素について、スマートフォンならではのプラットホームとして利用することができる。その上で何をするかを考えたいのだ。

バンカク

大学発ベンチャー・パンカクのアプリ「クリスマスカメラ」。研究活動のアウトプットを再利用してアプリのアイディアにするなど、研究活動とアプリ開発を接近させている様子がユニークだ

 そんな実験だったり、またアプリそのものを、今作っているということになる。未完成な部分もあって歯切れが悪くて恐縮だが来月頃にはいくつか答えをお見せしたいと考えている。

筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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