経済不況期の大きなテーマである「コスト削減」を取りあげている本連載だが、「コスト削減の虎の巻」という形ですでに幅広いネタを提供しているのが、日立ソフトウェアエンジニアリング(以下、日立ソフト)である。さっそく担当者に虎の巻の中身を教えてもらうことにした。
日立ソフトが試した コスト削減のノウハウとは?
日立ソフトが今年の6月に発表したのが、ITを活用したコスト削減ソリューションである。同社はドキュメント管理、電子会議用ボード、静脈認証、仮想化などさまざまな製品やサービスを展開している。これらを駆使し、(1)財務状況の改善に寄与、(2)出費の抑制、(3)外注コスト削減の3つのコンセプトを実現するのが、ソリューションの目的である。日立ソフト 商品技術本部 商品技術推進部 部長の石原成夫氏「営業の商談作りという社内的なきっかけでスタートしたのですが、結果的に弊社にある製品やサービスをコスト削減という観点で切った感じになりました」という。
ただ、ここまでだと、経済環境の厳しい昨今のありがちなサービスに思えるかもしれない。しかし、ユニークなのは、日立ソフトがまさに自社で取り組んできた成果を元に、導入1年で業績に直接寄与できる商品やサービスを厳選しているという点だ。
具体的には出張コスト、印刷コスト、労務コスト、ITコストの4つのカテゴリでのコスト削減を扱っている。たとえば、同社は2007年度からワークスタイルの変革やTV会議システムの導入により、出張・交通費を2008年度1年間で5700万円抑制したという。日立ソフト 商品技術本部 商品技術部 第1グループ 部長代理 遠藤周作氏によると「中国に拠点がある関係で、年間かなりの回数出張に行ったりしますが、打ち合わせなどの一部を弊社の『StarBoard』という電子黒板とTV会議に置き換えました。直接経費として3泊2日で1人15万円くらいかかりますので、その回数分のコストが減ります」とのことだ。
また、社内配布物や会議資料、帳簿の電子化、印刷ミス・私用印刷の撲滅などにより、年間391万枚の紙使用量を削減した。加えて日立ソフトがITベンダーということで、ITのコスト削減もかなりの部分を占めている。仮想化によるサーバ統合、IT試算の月額利用、ソフトウェアの開発支援、IDやアクセス管理、サーバ監視などさまざまな製品の組み合わせで大きなコストダウンを実現した。これらコスト削減の値は、当然独自の試算ながら、日立ソフトが実際に行なってきた施策の結果ということで、大きな説得力を持っている。
(次ページ、コスト削減技を集めた「虎の巻」をのぞいてみよう)
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