きっかけは「もっとファンタジーのイラストを見たい!」
――pixiv自体を知ったのはいつでしたか。
aroha J 好きなイラストレーターさんのブログを見ていたとき、色んなところで「pixiv始めました」と書かれていたので、pixivって何だろうと思って会員登録したのが最初ですね。pixivが始まった年※1の11月です。
pixivには普段サイトを回っている以上にイラストを描いている人の数とか、ランキングとかが魅力的でしたね。投稿したらダイレクトに意見が帰ってくるとか、点数制度とかも凄い新鮮で、当時大学生だったんですけど、それからpixivにどっぷりはまりました。
※1 pixivが始まった年: pixivは2007年9月にβ版として運営を開始。同年10月にはクルーク社による運営体制に移行した
――好きなイラストレーターさんにコメントしたりとか。
aroha J そうですね。でも本当に好きな方にはコメントしづらかったり(笑)。でも個人サイトだとちょっと壁があったのが、pixivだと若干縮まった感じはしますよね。
――ご自身でホームページは持っていたんですか?
aroha J 持ってはいたんですけど、pixivを初めてからは毎日(pixivで)絵を描くようになりましたね。評価を見ながら、どういうものを描いたら点数が上がるんだろうとか試行錯誤するじゃないですか。それにコメントが付くのが一番嬉しかったですね。
――それまでは、ブックマークから見ていくくらいでしたか。
aroha J 他にも色々なサイトを見ていましたが……ただpixivの規模で、あれだけ見やすいものはなかったですね。pixivが出てから、そういうサイトも見なくなりましたね。日記とかそういうものは今でも見てますけど。
――pixivで「企画」をやろうと思ったのはどうしてですか。
aroha J ユーザーから「企画目録」というタグが投稿されはじめたのがきっかけです。有名なものでいえば「ピクシブたん」※2とか。そういう「お題」を出す簡単な企画を見て「あー、こういう試みがあるんだ」と。
それで自分は元々RPGとかファンタジー小説がすごく好きだったので、pixivでもファンタジー系のイラストがもっと見たいなと思ったんです。ゲーム好きだったので「イラストを使ったゲームみたいなものをやろう」と思って考えたのが、pixivファンタジアでした。
――純粋にイラストが見たいという思いからスタートしているんですね。
aroha J もともと(イラストは)沢山ありましたけど。自分がもっと見たい! っていうのが一番の思いかもしれません(笑)。でも、意外だったのはpixivファンタジアにキャラを投稿したとき、そのイラストに「描いてもいいのよ」※3っていうpixivにあった文化を組み込んだっていうのが、すごく面白かったですね。
例えばAさんがオリジナルのキャラクターを描いて、敵対する国にBさんがキャラクターを描くと、その二人が戦っている絵を描く人が出てきたりとか、色んなキャラクターが一つに集まったりとか、すごく新鮮でしたね。
※3 描いてもいいのよ: pixivで使われるタグの1つで、「ユーザーによる二次創作を許諾する」という意味。個人的なクリエイティブコモンズライセンスのようなもの
――そういうユーザー主体の文化は、東方Project※4や初音ミクに近いものを感じますね。
aroha J やっている側もすごく楽しいですよね、想像の余地があるというか。こういうものは今後どんどん盛り上がっていくような気がしますし、そこの部分は大事にしたいです。曖昧なのがすごく楽しいっていうか。「これはこう」って定義しちゃうと、想像する余地がなくちっちゃって、面白くなくなるんじゃないかと。
それともう一つ思っていたのは、絵を描き始めた頃って、オリジナルキャラクターを描くじゃないですか。中学生の頃にノートに描いたオリジナルキャラクターを自分で動かしたいっていう思いはあるだろう、って気持ちを込めて、この企画は面白いんじゃないかっていう思いはありましたね。やっぱり絵を描くだけじゃなくて、そのキャラが活躍する場があると嬉しいですよね。そういうのが企画内でやれればと。
※4 東方Project: 同人サークル「上海アリス幻樂団」が制作・販売する、パソコン用シューティングゲームのこと。作者のZUN氏がキャラクターの二次創作を許可していることから、ニコニコ動画や同人誌などを中心に流行している