サラウンド技術で知られるDTSは、来年以降本格的に(日本も含む)パソコン市場に参入するようだ。CEATEC JAPAN 2009の会期に合わせ、同社プロダクトスペシャリストのChristopher Lang氏が来日し、パソコン向けの最新オーディオ技術について説明した。
来年に搭載パソコンが登場予定という「DTS Premium Suite」は、HDオーディオフォーマットである「DTS-HD Master Audio」をはじめ、ステレオ音源ソースをサラウンド化する「DTS Connect」、2chスピーカーで仮想サラウンドを実現する「DTS Surround Sensation UltraPC」といった機能をハードウェアで処理するソリューションだ。
これらは従来、ソフトウェアのみで処理されていたが、DTS Premium SuiteではRealtek社のチップを利用することでハードウェアで処理を行なう。これにより、Blu-ray Disc再生時などCPU負荷を下げることができるという。
さらに、DTS Premium Suiteではまったく新しい2つの機能が搭載される。1つは動画中の音量の異なるシーン(CMや爆発シーンなど)のボリュームが均等になるように調整する「DTS Symmetry」。もう1つはノートパソコンなどの(非力な)スピーカーの音声をより聞きやすくする「DTS Boost」だ。
実際に音を聞かせてもらったが、特にDTS Boostは驚くべき効果だ。オフからオンに切り替えると音が広がり、1つ上のレベルの音質となる感じだ。
顔の向きで音の方向が変わるサラウンド技術
「Head Tracker」というヘッドフォン向けサラウンド技術も興味深い。これはDTS Surround Sensationの機能だが、顔の向いている方向に合わせてサラウンドの音も変化するというもの。例えば正面を向いているときにリア方向から聞こえていた音が、首を右に振ると右から、左に振ると左から聞こえてくる。
今回試用させていただいたプトロタイプ機材は、ヘッドフォンに加速度センサーと方位センサーを搭載しており、これで頭の向きを検知していた。ちなみに、ノートパソコンに搭載されているカメラで顔認識すればセンサーは不要では? と個人的に思ったが、それでは首の動きに対して迅速に反応できないとのことだ。