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100%寄付金で運営する、ボーカロイドSNS「にゃっぽん」

2009年10月10日 12時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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にゃっぽんはこれからもあくまで個人運営

―― コミュニティとして、これからやっていきたいことはありますか。

現在、タップとBumpyRecordsの2社にECショップのASPを無償提供している

わーい ソフトの優待販売や、スクーリング(教室)が出来ないかなということは考えています。音楽に興味のあるユーザーが9000人近くいるわけですから、ソフト使いたい人に割引価格で提供し、企業がそのフィードバックをもらうという流れが出来ればWIN-WINの関係になる期待が持てると思うんですよ。

 ただ、(優待を)やってる会社・やらない会社の差が出てしまうと困るので、どういう形でやればいいのか考えているところです。現在、「作ってみた業者」で有名なタップさんなどにショップのASPをサービスとして提供しているので、公式としてではなく、そこを流通窓口として割り引きが出来ないかなということも考えています。


作ってみた業者 : VOCALOIDキャラクターを中心としたTシャツなどのグッズを作成し、ニコニコ動画に「作ってみた」とタグをつけて製造過程を動画で投稿するところから「作ってみた業者」と呼ばれるようになった。現在、にゃっぽんが無償ASPとしてECサイトのサービスを提供している

―― たとえばiTunes Storeを使うなど、モノを作る側だけではなく、モノを売る側の支援も考えているんでしょうか。

わーい 実際、「iTunesを攻略しよう」というのはSNSの中でプロジェクトとしてやっていたことがあったんですね。ただ実際、iTunesのアグリゲーター資格を取るにはアメリカの永住資格を持っていなければならないんですよ。それを考えると、個人として契約するのは難しいと。かといってアグリゲーターと交渉する日本の窓口業者を通すと、今度は手数料が多重にかかることになり、本人へのフィードバックがあまりできなくなってしまう。

 なので、現在は主に同人CDの流通を行なっているBumpyRecordsさんと協力している状態です。CDの仕入れと発送をBumpyRecordsさんが請け負って、にゃっぽんからはオンライン通販ショップのASPを無償で提供するという形ですね。

アグリゲーター : iTunes Music Store上で楽曲の販売と使用料の管理、また分配などを請け負う法人のこと

現在、クリプトン・フューチャー・メディアもiTunes Store上で楽曲の販売を行なっている。写真はDixie Flatlineさんのアルバム「Fragments」

―― コミュニティそのもので何か新しいことをやりたいという思いはありますか。

わーい 新しいボーカロイドが出てきたときなど、コミュニティーの中で楽しめる新しい「ネタ」を提供していきたいというのはありますね。今年4月にエイプリルフールネタで1日限定の「ボーカロイドにゃっぽん姉っくす!」というサイトを作ったことがあったんです。

 SNSのバージョンアップ版を試用してもらおうという企画だったんですが、完全公開版にしたことで、普段にゃっぽんに参加していない人たちとのつながりも出来て、とても面白いものになったんですね。好評すぎて最後の45分間はプロバイダー側からアクセス制限をかけられてしまったくらいでして。

長月 さっき少し「自重」の話をしましたが、参加者の方々がSNSに配慮をしすぎるあまり、過度な盛り上がりに「ちょっと落ち着こうぜ」とブレーキをかけてしまうところもあるんです。それで委縮してしまう人もいるので、たまに自由度の高い「お祭りが出来る場所」を用意するのがいいと思うんですよね。


―― ここまでの規模になると法人化するという方向もあるかと思いますが。

わーい 基本は無理をやらずに、運用しつづけることを目標にやりたいと思っています。すでにサーバーを移動するにも容量的にままならないところまで来ていて、もはや企業であることを必要とする規模にはなっているように思います。でも企業色を出すことで出来ることと、得られる成果を考えてみると、まだ法人化は微妙かなと思います。

 ただ、現在はサイトの運用はドネーションに頼っている状況で、法人化することで資金的に安定するという面は大きいと思っています。今はドネーションが途切れたら、管理者個人の経済状況でできることが大きく変わってしまうので。難しいですね。


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