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100%寄付金で運営する、ボーカロイドSNS「にゃっぽん」

2009年10月10日 12時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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にゃっぽんは皆さんの寄付金で運営しています

―― ビジネス目線で見ると、にゃっぽんが新人作家のデータベースになっている面もありますよね。たとえばレコード会社やDTMソフトメーカーなどから「作曲家を紹介してほしい」「広告を入れさせてくれ」という声がかかることもあるかと思います。

今年3月、朝日新聞が初音ミクの特集記事を掲載した際もにゃっぽんとして協力。記事では取材にも応じている

わーい にゃっぽん内でコンタクトできる方々に対応した事例はありますね。たとえばヤマハさんからボーカロイドのアルファテスターを募集したいと言われたり、朝日新聞社さんから取材をお願いされたときは、打診だけいただいて、(作家との)連絡窓口になっている感じです。広告を入れたいと言われたときは、お断りしています。

 やっぱり企業広告を入れてバイアスがかかってしまうのを避けたいんですよ。たとえばA社の広告が入って運営資金になっていたら、参加者はなんとなくA社の批評は書きにくくなるじゃないですか。今はドネーション(寄付金)で支えてもらっているので、それでいいかなと。初年度はドネーションだけでかなり黒字になってしまって、逆にまずいんじゃないかと感じるほどでした。

長月 ドネーションは基本的に(ボーカロイド系の)イベントで手渡しでいただくことがほとんどです。ドネーションはすべてサーバー費用に充てていて、収益化することは考えていません。自由に振り込み出来てしまうと、いただきすぎたときに制御出来ずに困るので、やめようということにしています。


―― そうはいっても9000人近い参加者がアクティブに参加しているのであれば、サーバー費用の負担はかなり大きいのではないかと……。

インフラを管理している長月あきとさんは本職でもサーバー管理の仕事をしているという。いわば「プロの犯行」

長月 元々はレンタルサーバーの一番安いプランでやっていたんですが、かなり活発に書きこまれていたこともあり、Xeon CPU4コア×2に8GBメモリーを載せたサーバーに変えました。一般的なホスティングに使われているものの中でもかなりスペックの高いものを使っています。

わーい 以前はデータベースのパフォーマンスを向上するのにメモリーを載せる必要があったんですが、今はその当時よりMySQLの仕様や制約を理解して改善対応したので、メモリーはせいぜい2GBもあれば足りる状況です。扱っているデータ量からしてもシングルサーバーで運営しているMyNETSのサーバーではおそらく最大規模でしょうね。

長月 もともと本職がサーバー管理などをやっているので、相当改善は出来ていると思います。ただ現在、日記が70万件、画像ファイルだけで60GB近くある状態で、それをデータベース化して管理するのがものすごく大変なんですよ。データの削除はしたくはないし、それでもレスポンスに影響を与えないようにするために相当頑張っています。

MySQL : サン・マイクロシステムズ(現在はオラクル傘下)が開発する、世界で最も有名とされるオープンソースデータベース


―― ここまで大きなサイトを運営していると、経済面ではなく精神面で苦労することもあるのではと思います。

わーい 参加者がサイトに迷惑をかけないようにと気を使ってくれて、割と「自重」してくれているような傾向があるのが分かるので、管理者としてはあの規模では本当に手間がかからないサイトだと思っています。苦労はほぼゼロですね。ただ、技術的に解決しなければならない課題にめどが立たないときはきついです。たとえば、特に今なら、回線の問題を解決したいという思いが大きいですね。

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