サブ100$Android対iPhoneの
歴史的対決が始まる
もともと情報というものの流れは、人と人のネットワーク的なものから始まったはずだ。それが、新聞やラジオが影響力を持つようになって、メディアの時代がやってきた。そして、テレビの登場や大量生産によって、20世紀は締めくくられたのだといってよいと思う。しかし、いまは「ソーシャル」という人の人のネットワークが、また意味を持ってきている。
ブロードキャスト的な情報の流れに対して、人と人の関係による情報の流れが力を持ちはじめているのだ。「あなたの友だちの××さんはこのバナーをクリックしました」といった調子のソーシャル広告は、それの具体的な利用例だ。アスキー総研が販売している『iPhone利用実態調査』(関連記事)の認知経路・購入理由でも、Twitterやブログが占める割合がきわめて高い。
こうしたコミュニケーション・スタイルの変化という背景があるから、iPhoneかAndroidかという議論は、注目すべきテーマなのだ。
iPhoneとAndroid、あるいはiPhone的なシンプルな操作性とAndroidのネット融合的な操作性は、これからのコンピューティングの「二大勢力」となっていくに違いない。私の世代では、iPhoneのようなシンプルな端末のほうが安心して使えるという人も少なくない。いまiPhoneで満足している人は、そこから離れようとしないかもしれない。実は、iPhoneが、(電話なみに)「シンプル」であることの意味は、非常に大きいような気がしてならないのだ。
一方、Androidは、バーチャル空間と融合したりネットに飛び込んでいく世界をめざしているように見える。前回触れたような、優れたカスタムUIがAndroidの上に搭載されたものや、非Android端末でも、Palm Preに代表されるネットワークコネクテッドな発想の端末を、バシバシ使いこなしていく人たちも増えてくるに違いない。
この2つの勢力は、「サブ100$」のAndroid端末とiPhoneの低価格モデルによって、一気にブレイクするものと思われる。その時、コミュニケーションとメディアの世界は、本質的に変わりそうだ。