このページの本文へ

西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第33回

開発者インタビューで秘密に迫る「VAIO X」 前編

2009年10月08日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

より完成されたモバイルノートを目指して
開発されたVAIO X

 そうして、VAIO Xの開発は正式にスタートする。その時、林氏が念頭に置いていたのは、ある商品に対する「思い」だ。

X505こと「バイオノート505エクストリーム」

X505こと「バイオノート505エクストリーム」。2003年に登場し、最厚部でも21mmという驚異の薄さで話題となった

「考えたのは、『持ち運びを重視するために、なにかを犠牲にしない』ということです。X505と言うのは今から考えると、『薄さありき』で使い勝手を犠牲にした部分がありました。だからそうではなくて、きちんとお客様に価値を提供し、喜んでもらったうえで『こんなにキレイに商品にしました』というものができるはず、という確信がありました。そういう製品はぜひやるべきだし、『VAIOのひとつの理想形だよね』という考えに至ったのです」

 例えば、X505の時代にはすでに無線LANが一般化しつつあったにも関わらず、本体内に無線LANやEthernetのコネクターを搭載できなかった。アナログRGB出力も外付けだった。だがVAIO Xでは、それらをすべて本体に搭載することに成功している。「なにか別のものを持ち歩かないといけないのでは実用性が低い」と、林氏が考えたためだ。

 実は、検討チームが作ったモックアップには秘密があった。確かに部品を積み上げれば、モックアップと同じサイズ・軽さになる。しかし、その段階では単純に部品を積み上げても、決して「モックアップどおりの製品」はできなかったのである。

「当時はあえて、部品同士のマージンを考慮しませんでした。部品同士を積み上げた、ギリギリの値を提示していたのです。もちろんこちらで技術的な検討は行ないましたが。その上で提示したのが13.9mmという厚さだったわけです」

部品が厚すぎて入らない、という想定だったアナログRGBおよびLAN端子

部品が厚すぎて入らない、という想定だったアナログRGBおよびLAN端子も、13.9mmの中にしっかり入った。どうやって入ったか、そして入れたがゆえの苦労については次回で解説する

「実のところ、当初は13.9mmの厚さでは入らない部品もありました(笑)。アナログRGB出力の端子とか、Ethernetのコネクターなどです」

「そこは『うちのチームならなんとかしてくれるだろう』と信頼していたわけです」

裏面から見たコネクター部

裏面から見たコネクター部。LAN端子は本体底面より下まで開くので、その際は裏面にある小さなスタンドを立てて使う

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン