より完成されたモバイルノートを目指して
開発されたVAIO X
そうして、VAIO Xの開発は正式にスタートする。その時、林氏が念頭に置いていたのは、ある商品に対する「思い」だ。
林「考えたのは、『持ち運びを重視するために、なにかを犠牲にしない』ということです。X505と言うのは今から考えると、『薄さありき』で使い勝手を犠牲にした部分がありました。だからそうではなくて、きちんとお客様に価値を提供し、喜んでもらったうえで『こんなにキレイに商品にしました』というものができるはず、という確信がありました。そういう製品はぜひやるべきだし、『VAIOのひとつの理想形だよね』という考えに至ったのです」
例えば、X505の時代にはすでに無線LANが一般化しつつあったにも関わらず、本体内に無線LANやEthernetのコネクターを搭載できなかった。アナログRGB出力も外付けだった。だがVAIO Xでは、それらをすべて本体に搭載することに成功している。「なにか別のものを持ち歩かないといけないのでは実用性が低い」と、林氏が考えたためだ。
実は、検討チームが作ったモックアップには秘密があった。確かに部品を積み上げれば、モックアップと同じサイズ・軽さになる。しかし、その段階では単純に部品を積み上げても、決して「モックアップどおりの製品」はできなかったのである。
林「当時はあえて、部品同士のマージンを考慮しませんでした。部品同士を積み上げた、ギリギリの値を提示していたのです。もちろんこちらで技術的な検討は行ないましたが。その上で提示したのが13.9mmという厚さだったわけです」
星「実のところ、当初は13.9mmの厚さでは入らない部品もありました(笑)。アナログRGB出力の端子とか、Ethernetのコネクターなどです」
林「そこは『うちのチームならなんとかしてくれるだろう』と信頼していたわけです」
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