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無線LANのすべて 第6回

通信の安全を確保する技術を知ろう

無線LANのセキュリティは暗号化から

2009年10月08日 06時00分更新

文● 的場晃久

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WEPの弱点をカバーする

 以上のような無線LANの持つセキュリティ問題を克服するために、IEEE(米国電気電子学会)では「IEEE802.11i」の策定を行なった。これは、有線LANのデータリンク層のセキュリティ規格であるIEEE802.1xを無線LANへ応用したものだ。

 ところが、11iの策定には時間がかかったため、無線LAN機器の業界団体であるWi-Fiアライアンスが11iのサブセットを「WPA(Wi-Fi Protected Access)」として2002年に策定した。その後2004年には11iも策定され、対応するWPA2も登場した。

 WPAでは「TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)」という暗号化方式を採用し、WEPが持つ脆弱性を改善している。暗号化アルゴリズムはWEPと同じRC4である。

 WEPで用いられていたIVは平文で送信されており、長さは24ビットであるため短時間で同じ値が出現する。そこで48ビットに拡大することで、同じ鍵が使われるというWEPの弱点を解消した。また、WEPでは固定されていたWEPキーを、定期的に変更するようになった。万一解読されることがあっても、値が変化しているため使い続けることができないわけだ(図4)。

表1 WEPとWPAの比較

図4 WPA(TKIP)で改善したポイント

 次に、WEP2では暗号化アルゴリズム自体を変更することで、暗号化強度を高めている。WEP2で用いられている暗号化方式は、「AES(Advanced Encryption Standard)」である。

 AESは、暗号化アルゴリズム「DES」の後継にあたる。ただし、RC4に比べて処理が重いというデメリットもある。

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