GammaChrome~Chromeと改良版が続くが
ディスクリート市場では地歩を築けず
DeltaChromeに続いて、2004年3月にリリースされたのが「GammaChrome」のシリーズである。DeltaChromeとの最大の違いは、インターフェースがPCI Expressになったことだ。ただ、当初はPCI Expressのインターフェース回路がかなり大型化してしまい、「130nmプロセスのままでは、シェーダー数を半減させないと入らない」という噂もあったが、最終的にはなんとかDeltaChromeと同じ構成に収まっている。
しかし、2004年といえばNVIDIAならGeForce 6000シリーズ、ATIはRADEON X800シリーズがそれぞれリリースされていた時期で、一応はDeltaChromeに比べると若干動作周波数を上げてはいるものの、性能面ではかなり見劣りした。
GammaChromeもDeltaChrome同様に、128bitメモリーバスの「GammaChrome S18」と、シェーダー/メモリーバス幅半減の「GammaChrome S14」で構成された。S18はCE/Pro/Nitro/Ultraという複数のバリエーションが用意される点はDeltaChromeと同じだ。しかし、ハイエンドの「GammaChrome S18 Ultra」(コア500MHz/メモリー900MHz)でも、GeForce 6600とかRADEON X800 SEといったメインストリーム向け製品にはやや及ばない程度で、性能的にはかなり厳しくなってくる。
その後、2005年には富士通の90nmプロセスを使ってもう一度作り直した「Chrome 25/27」がリリースされるが、パイプライン構成はまったく同じである。追加された機能としては、SLIやCrossFireと同様、複数のGPUを連動して動作させる「MultiChrome」や、WMV9 HDやMPEG-2 HDなどHD動画のデコードに対応した「Chromotion 3.0」、そのほかにGDDR1/2/3の複数種類のメモリーをカバーする「FMA」(Flexible Memory Architecture)などが挙げられる。ローエンドのS25では、メインメモリーをビデオメモリーとして利用できる「AcceleRAM」も搭載された。
しかしこのS27/25あたりから、デスクトップ向けグラフィックスカードの市場は、半ば諦めた風情がある。というのは、このあたりからChromeシリーズの特徴を、性能そのものよりも低消費電力やノートへの搭載に向いた多彩な出力(デジタル出力のLVDSなど)、あるいはChrome 25のAcceleRAMのような、柔軟なメモリー構成といった方面に振り始めているからだ。
Chrome 400シリーズでDirectX 10.1に対応
これに続く「Chrome 400」シリーズは、さらにこの傾向を強めるものになった。2008年に登場した「Chrome 430/440」は、DirectX 10.1とShader Model 4.1に対応したUnified Shader(統合シェーダー)を搭載したものだが、シェーダー数は32でしかない。NVIDIAのGPU(Shader Modelは4.0だが)ならGeForce 9500程度。ATIではRADEON HD 2400未満という具合で、バリュー向けの性能レンジのシェーダー数でしかない。性能そのものを追い求めるのではなく、「とにかくDirectX 10.1準拠である事が重要」といったアプローチになっている。
ちなみに他社のGPUと異なり、テクスチャーユニット数やROP数が未公表なので、図では32US(Unified Shaderが32)と表記しているが、おそらくROPS数は4、テクスチャユニットも4か8といったところであろう。この世代はまた、GDDR3メモリーを標準サポートする一方で、バス幅は64bitに削減された。この点からみても、絶対性能を重視していないことが明確に見て取れる。この結果、これまでは上位と下位でパイプライン構成とバス幅を変えて製品を分離していたのが、単に動作周波数だけで製品分けするようになった。
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