安価はうれしいが、やや問題も
HDL-Cを低コストNASとして考えるとパフォーマンスが気になるところだ。今回は上位シリーズとなるHDL-GSシリーズ(HDL-GS1.0T)も借りて、両者のアクセス性能を比べてみた。ディスク容量がHDL-Cが500GB、HDL-GSが1TBといった差はあるが、おおよその傾向は出るだろう。なお、上位のHDL-GSでは、NASで一般的なLinux OSが利用されているが、安価なHDL-CではRTOS(リアルタイムOS、詳細非公開)となっている。
テストではPRISM Benchmark Pro 1.7を使用し、容量1MB、10MB、100MBのzipアーカイブファイルを、3~10回ずつ読み書きして平均値をとっている(テスト環境はCore2 Duo P8700-2.53GHz、4GBメモリー、Windows Vista Home Premium SP2)。まずはHDL-CをUSB 2.0接続で動かしたときの結果から。読み出し・書き込みともに、なかなか良好な結果となっている。
HDL-C500 USB接続でのテスト結果 単位はMbps(以下同)
1MB | 10MB | 100MB | |
---|---|---|---|
読み出し | 154.56 | 273.1 | 272.72 |
書き込み | 66.24 | 181.26 | 220.14 |
次に、1000BASE-TでLAN接続した場合の速度を調べた。HDL-C、HDL-GSともに、ハブやスイッチを介さずにパソコンのLANポートと直結させている。
LAN接続でのテスト結果
HDL-C500 | HDL-GS1.0T | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
1MB | 10MB | 100MB | 1MB | 10MB | 100MB | |
読み出し | 36.16 | 82.78 | 93.06 | 60.17 | 188.58 | 116.37 |
書き込み | 2.24 | 2.27 | 2.28 | 41.49 | 73.01 | 76.94 |
ここで大変困ったことが起きた。HDL-Cへのファイル書き込みが異常に遅いのである。ほぼ期待通りの値となったHDL-GSの書き込み速度と比べると、20分の1程度しか出ていない。何度テストを繰り返しても変わらないため、OS側のファイアウォールの問題かもと思い、Windows Vistaファイアウォールをオフにしてみたが、読み出し速度が10%ほど向上するだけで、書き込み速度に変化はなかった。
パソコン固有の問題かも知れないと思い、別のパソコン(Core2 Duo L7500-1.60GHz、1GBメモリー、Windows XP Professional SP2)でテストしたのが、次の結果である。
XPでのLANおよびUSB接続のテスト結果
HDL-C500 LAN | HDL-C500 USB | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
1MB | 10MB | 100MB | 1MB | 10MB | 100MB | |
読み出し | 84.76 | 129.79 | 132.5 | 262.76 | 245.93 | 201.02 |
書き込み | 87.59 | 92.02 | 92.31 | 92.74 | 120.15 | 129.38 |
ここでは、USBモードでもLAN接続モードでも同様に、ほぼ期待どおりの結果となった。こうなるとLANアダプターとの相性かも知れない。最後に、また別のパソコン(Sempron 3000+ 1.8GHz、1.5GBメモリー)で、OSのみ異なる状況を作ってテストしてみた。
異なるOSでのLAN接続のテスト結果
Vista | XP | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
1MB | 10MB | 100MB | 1MB | 10MB | 100MB | |
読み出し | 33.98 | 101.09 | 118.06 | 91.8 | 121.54 | 126.39 |
書き込み | 5.7 | 4.46 | 5.25 | 76.78 | 72.51 | 83.3 |
こちらでもやはり、Vistaでは書き込み速度が極端に低下する結果となった。メーカーに確認したところ、Vistaで特に遅くなる問題は確認されておらず、エクスプローラーでの転送では、100MB時に書き込み83.98Mbpsを計測しているという。今回評価したのは発売前の試作機であるため、現時点では評価機個体の問題の可能性もある。
これら結果からHDL-Cシリーズの利用法が見えてきた。大容量ファイルをHDL-Cに書き込む際には、ちょっと面倒だがUSB接続で使うのがよさそうだ。ただしUSB接続時には、HDL-Cのフォーマット(FAT32)の関係上、容量4GB以上のファイルは扱えない(LAN接続時はHDD側が自動で分割管理するので、4GB以上のファイルも扱える)。録画データなど数GBのファイルは、書き込み速度を考えてもWindows XPマシンから書き込むことになる。しかし、HDL-Cに書き込んでさえしまえば、ファイル容量に関係なく家庭内のあちこちから同時に読み出せるようになる。
「普段はUSB外付けHDDとして運用し、共有する必要があるときにはLAN接続に」となるとパソコンにUSBでつなぎっぱなしにしておいて、HDL-Cを共有ドライブとしてネットワーク公開するのと大して違わないようにも思える。省エネが叫ばれるこのご時世だからこそ、パソコンがなくてもファイルサーバーとして動き、省エネ機能を積んだHDL-Cのメリットが生きてくるというわけだ。
HDL-C500の主な仕様 | |
---|---|
HDD容量 | 500GB |
対応OS | Windows 7/Vista/XP |
LAN I/F | 10/100/1000BASE-T |
USB I/F | USB 2.0/1.1 |
ファイルサーバー機能 | Windowsファイルサービス |
対応プロトコル | TCP/IP |
同時接続台数 | 制限なし(推奨8台以内) |
サイズ | 幅42×奥行き195×高さ120mm |
質量 | 960g(本体のみ) |
価格 | 1万3600円 |
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