群雄割拠の国内セキュリティーソフト市場。その熾烈な競争を勝ち抜き、現在国内でNo.1シェアを獲得しているのがトレンドマイクロの「ウイルスバスター」シリーズだ。同社の新製品「ウイルスバスター2010」について、また今年のウイルスのトレンドなどについて、トレンドマイクロ プロダクトマネージャーの長島理恵さんに話を伺った。
コンポーネントの改良でパフォーマンスが向上
―― 初めにウイルスバスターシリーズがどういった製品なのかを教えてください。
長島理恵(以下、長島) 「アンチウイルスソフトです」「スパム対策ソフトです」というような切り分けはせず「これ1本だけ使ってもらえれば、何も考えずにあなたのセキュリティ対策は万全になります」というコンセプトで作られている、総合セキュリティーソフトです。おかげさまで現在市場シェアNo.1を獲得しています。
開発の際、特に気をつけているのが「軽快」と「安心」の2点です。写真加工ソフトなど通常のソフトのように何かをつくりあげたり、加工したりするものとは違い、セキュリティーソフトはパソコンを安全に使えるようにするための言わば、裏方的な役割のソフトです。本当にパソコンでやりたいことを邪魔しないようにするというところで軽快さが必要になってきます。
―― その軽快さの面で今回、力を入れられているのはどこですか。
長島 まず、パソコンの起動時間を従来比で約3割程度早めています。これはコンポーネントの起動順を変えているんですね。ウイルスバスターの中には様々なコンポーネントがあるんですが、そのコンポーネントをA~Fとしたとき、これまでは「ABCDEF」と起動しなければならなかったのを「ACEBDF」という順番に変更する。そうすることでマシンとの相性などで起動時間を改善しています。
次に、クイック検索の時間を2割程度下げています。クイック検索というのは、たとえばCドライブのWINDOWSフォルダなど、特にスキャンが必要な部分だけを定期的に検索するものです。
―― いわゆるベンチマーク比較の対象に当たる部分ですよね。
長島 それだけではなく、体感出来る形での改善も行なっています。その1つが今回注力したシステムチューナーの自動化ですね。レジストリやキャッシュがたまってくるとパソコンは重く感じる。それを掃除する、ディスクのクリーンアップのような機能です。昨年はボタンクリックによる手動操作でしたが、今回からはそれを自動化しています。
また全画面サイレントモード機能も搭載しています。CPUやメモリーの使用率を監視して、パソコンがアイドルタイムのときにだけ予約検索やパターンファイルのアップデートを行なわれるようにしています。たとえばExcelで作業しているときに「どうも重いな……」と思うようなことがなくなっているんですね。

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