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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第90回

iPhoneと過ごしたNYとメキシコの旅でわかったこと

2009年09月30日 12時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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海外に持ち出して
便利だった、おもしろかった、アプリ

 さて最後に、海外旅行の際に準備しておいたアプリをご紹介しておこう。ちなみに普段使っているアプリも多いのだが、日本でのHSDPAのスピードに比べると、正直フリーズしたのかと思いたくなるほど通信速度が遅い。iPhoneの画面には見慣れた「3G」ではなく、GSMのデータ通信を意味する「E」(Edge)の文字が表示された。なお、今回使った範囲では、3GをONにしてもニューヨーク、メキシコともに3Gの電波を拾うことはできなかった。

Skype for iPhone

 国際電話を安くかけたい人にとっては必須のサービスとも言えるSkypeのiPhone版を用意しておいた。

 アメリカにいると、日本の番号へかけるときに1分145円、日本からかかってきたとき1分175円がかかる(発信の方が受信より安い!)。Skypeを利用すると、1分あたりの通話料を大幅に抑えられる(固定宛:約3円/分、携帯宛:約18円/分)。必要になってからWebブラウザを開いてチャージするのは面倒なので、日本にいるうちにアカウントにある程度の金額をいれておくといいだろう。

 ちなみに僕はSkypeの1ヵ国限定プラン(月695円)と050から始まる日本の電話番号を持てる「SkypeIn」(3ヵ月2250円または年7500円)に契約している。そのため、日本の固定電話への通話料はかからない。

 また相手にも050番号にかけてもらうことで、国際通話料がかからず電話をかけてもらえる。もちろんiPhoneで常にSkypeアプリを立ち上げておく訳にもいかないので常に待ち受け状態にすることは難しいが、上述の月額プランに加入していると無料のボイスメール機能を利用すると、留守電を次回ログイン時に聞くことができるので、通話料もかなり節約できるのではないだろうか。

Skype

iPhoneアプリ版のSkype。クレジットや国内限定プランなどを利用すれば、ケータイや国際電話よりも遙かに安く日本に通話できる

マップ

 標準で入っているGoogle Mapsを表示するアプリだが海外でも役に立った。メキシコはカンクンのダウンタウンへ行ったとき、バスを降りたポイントが予定していた場所ではなかった。地図を持っていたのだが特徴が薄い街路が続き、今自分が地図上のどの交差点に立っているのかわからない。

 そこでデータローミングをONにして、マップのアプリを起動し、GPSで自分の位置を計測。これでデータローミングをOFFにしてからゆっくり手元の地図と見比べる。こうして迷子から瞬時に復帰できた。本来ならマップのアプリで地図を見ながら行動したいところだが、料金の問題でそういうわけにもいかない。また3G接続でない環境でも、他のアプリほどストレスを感じなかった。

 ちなみに最近Google Mapsは海外についても日本語での地名表示に対応したが、これはあまり役に立たなかった。スペイン語の地名は、カタカナで表示するより、そのままアルファベットで表示してくれた方がわかりやすかったからだ。

マップ

デフォルトアプリのマップ。始めて訪れた場所で路線バスを降りた後の道路は、手元の紙の地図にうまく表現されておらず、一瞬迷子になってしまった。でもGPSでポイントしてくれたので、これなら一目瞭然

英辞郎

 海外旅行で英語圏を行くとき、便利なのが英和辞書だ。とはいえ、ただでさえも荷物が多い中で、紙の辞書を持ったり、ケータイとは別に電子辞書を持つのはなかなか大変だ。そこで普段からウェブでお世話になっているオンライン英和・和英辞書のサービス「英辞郎」のアプリをインストールして持っていった。

 このアプリのいいところはウェブ版のデータをアプリに内包して、オフラインでも利用できるようにしてある点。これならデータローミングOFFの環境であっても瞬時に調べることができ、豊富な語彙から言い回しを参考にしたりと便利に使えた。

英辞郎

オフラインで利用することが出来るため、データローミングOFFでもしっかり役だってくれた

BrightKite

 本連載でもすでに紹介してきたBrightKiteは、海外でも役に立った。特に観光地の場合、周囲にあるレストランの味はどうか(大半が英語の感想で日本人の口に合うかは別問題)、また訪れた場所の天気が悪かったときも、晴れていた日に撮影された写真が残っていたりと便利に活用できた。

 ちなみにメキシコではマヤ文明の遺跡であるチチェン・イッツァを訪ねた。ここではBrightKiteを通じて遺跡の写真を1枚アップロードしてみた。BrightKiteをパソコンから見ると、写真の脇にGoogle Mapsの衛星拡大写真と、その国全体の地図があわせて表示されるようになっている。遺跡は衛星写真からも確認でき、訪れたときにわからなかった位置関係などが後からわかった。

 訪れた場所をちょっとずつプロットして振り返るという作業は単純に楽しいし、世界中に自分の点が増えていくのは今後の旅への励みになりそうだ。

BrightKite

BrightKiteからマヤ文明の遺跡・チチェン・イッツァの写真を投稿してみた。Webで見ると衛星写真や地図が参照できて、旅の記録として非常にうれしい演出になる

筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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