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Windows 7開発者セミナー 要点レポート

動作すればOK といかないWindows 7アプリ開発のキモ

2009年09月29日 10時00分更新

文● 塩田紳二

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まだWindows Vistaへ移行していない
ソフトウェア開発者に

 セミナーの終了後に、同セミナーを指揮するマイクロソフトの井戸文彦氏(デベロッパー&プラットフォーム統括本部パートナーテクノロジー推進部エバンジェリスト)に話を伺った。

井戸文彦氏

セミナーを指揮するマイクロソフトの井戸文彦氏

 井戸氏によると、マイクロソフトが実施するWindows 7関連のセミナーには2種類があり、ひとつはWindows 7に装備される新機能などに対応するもの、もうひとつが本セミナーだという。前者は主に、すでにWindows Vistaへの対応を果たしたアプリケーション開発者向けであり、今回のセミナーは、まだWindows XP以前の環境にしか対応しないアプリケーション開発者向けなのだという。

 このため、Windows 7の目新しい新機能よりも、Windows XP→Windows Vistaで大きく変わったポイントを中心に解説し、アプリケーションがWindows Vista以後のWindowsアーキテクチャーに正しく対応することに主眼が置かれているという。

 今回のセミナー参加者は、MSDNやTechnetなどを通じてこのセミナーを知って申し込んだ方が多いそうだが、必ずしもソフトウェア開発者とは限らない。企業によっては、IT技術部と開発部が明確に分離していない場合もあるし、IT部門でソフトウェアを内製していたり、カスタマイズなどを社内で行なうケースもある。

 また、Windows 7とWindows Server 2008 R2、いわばクライアントOSとサーバーOSを一緒に解説しているのは、Windows Vista以後、カーネルが同一になり共通部分が大幅に増えたため、個別に解説すると両方に対応する開発者が重複した内容を聞くことになるからだという。

 64bit移行についての項目が入っているのは、昨今のメモリー価格の下落により、大容量のメモリーを搭載しやすくなっているためで、メーカーのプレインストールOSにも64bit版Windowsを搭載するものが増えてきたことが理由のひとつだという。特に米国ではこの傾向が強く、日本でもオフィスで使うためのPCを店頭で買ってきたら最初から64bit版Windowsが入っていたという可能性がある。

 一括大量導入する大企業向けのPCでは、64bit OSが立ち上がるのには、まだ時間がかかるだろうが、中小企業などで社員が個々にPCを購入してくるような場合には、64bit版のWindows 7を使い始める可能性が今後高まるという。つまり、64bit対応は決して先のことではなく、すでに検討しなければならないポイントになっているのだ。

マルチタッチに対応したPCで、タブレットPCがビジネス用途に新しい可能性

井戸氏はWindows 7の特徴のひとつ、マルチタッチに対応したPCで、タブレットPCがビジネス用途に新しい可能性を広げる、というデモも見せてくれた


ロゴプログラムも解説する狙いとは?

 今回のセミナーの骨子はWindows Server 2008とWindows Vistaへの移行のときに作られていた、というのも驚きだ。すでに長い間行なわれてきたセミナーを下敷きに、Windows 7を加味したもので、内容的にも考え抜かれたものになっているという。セミナー終了後には毎回アンケートを採り、その結果を踏まえて次回の内容を修正している。回を重ねることにブラッシュアップされているわけだ。

 このセミナーでは、「Windowsロゴプログラム」にも触れている。ソフトウェア開発者といっても、パッケージ販売を前提にしなければ不要では? と思うかもしれないが、決してそうではない。

 ロゴ取得により、よりWindows 7/ Windows Server 2008 R2との親和性を強調することは大きなアドバンテージとなる。Windows 7のロゴ取得に関しては、費用面でもツール取得の面でも、そのハードルが大きく下がっているのも特徴だ。費用面に関してはベリサインによる証明取得のみとなり、ロゴ取得そのものは無料である。

 また、ロゴプログラムが要求する事項は、どんなソフトウェア(たとえば社内専用の非流通アプリケーション)にも当てはまることであり、ロゴ取得のためのさまざまなリソース(テストツールなど)を活用することにより、アプリケーションの品質を高めたり、発見しにくい不具合や不都合を発見できる。このセミナーも、Windows 7やWindows Server 2008 R2への移行はまだまだ先だから、と気楽に構えるソフトウェア開発の担当者に気づきを与えるという意味で、いい機会になるはずだ。


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