時流に応じて変わるネットショップのレイアウト
現在の篠さんのサイトデザインは、Z型ではなく、上下に視線を流す縦スクロール型と呼ばれるもの。 2001年当時に比べ、ページ中央部に見栄えのする大きい画像を多数掲載し、ユーザーの視線を上から下にまっすぐ流しているのが特徴です。
「2001年当時に比べ、常時接続が当たり前になり、パソコンの容量も増えるなど、ユーザーの環境の変化によってサイトデザインにも自由度が増し、ページ中央部に大きな写真をいくつも掲載してもストレスをためずに閲覧できるようになったんですね。サイトデザインは時流によって大きく変化していくので、それに応じて柔軟に対応していく必要があると思っています」
もちろん、どんなにサイトデザインを作り込んでも、商品をいかに良く見せるかという肝心の点において工夫しなければ、売上には結びつきません。その点、篠さんのショップは、商品写真、商品説明文、キャッチコピーをはじめ、顧客の「買いたい!」を促す仕掛けを多数作っています。次回はそうした“仕掛け”に迫ります。
――ネットショップのエキスパートが斬る!――
ネットショップ向けサイト構築で数々の実績を上げている株式会社ソキュアス代表取締役社長の川近さんに「売れるホームページの条件」について伺いました。
売れるホームページの3要素を確認しよう
確かにサイトデザインについては、以前は「Z型」、ここ最近は「縦スクロール型」など、その時々でブームといえるような“型”が存在します。ただしそれが成約率に直結するかというと、必ずしもそうとは言えません。サイトデザインの型にだけ目を奪われるのではなく、まずは、ネットショップにおいて売れるホームページの条件を確認することから始めていきましょう。
売れるホームページの条件は主に以下の3つと言われています。
- 商品のメリットをきちんと謳っているか
- 1.の裏付けがあるか
- 他店とどこが違うのか分かるよう差異化を図っているか
1.は、サイトのキャッチコピーをはじめ、商品画像や商品紹介文などでメリットを明確に打ち出せているかどうか。2.は、1.のメリットを裏付ける、すなわち、お客様の声やマスコミ掲載情報などをサイトのコンテンツにすることを意味します。3.は、類似商品と何が違うのか、差別化を明確に打ち出すことを表しています。これら3つをトップページ、商品詳細ページそれぞれに盛り込めているお店こそ、売上に直結したよいサイトといえます。
お客様の声は、お店の賑わいの演出に役立つ
『シリアルマミー』の篠さんは、「売れているサイトは活気のある雰囲気が漂っている」と感じていましたが、これは特に、2.に該当すると思います。お客様の声がたくさん掲載されているショップは、商品のメリットを裏付けられると同時に、お店が盛り上がっている雰囲気も演出できます。篠さんも指摘するように、雑誌やテレビなどのメディアには登場したことがないというお店でも、「お客様の声」をサイト内で上手に活用すれば、大きな宣伝要素になるはずです。
「お客様の声」がなかなか集まらないと感じているお店は、どうすれば「お客様の声」が集まるようにお客さんを誘導していくことができるか、頭を捻ってみましょう。たとえば楽天市場に出店しているショップの場合、「商品を購入してレビューを書いてくれたらおまけを進呈する」といった取り組みをしているところはいくつもあります。
また、私たちがサイト運営を手がけるネットショップの1つでは、お客様が直筆で送ってくれた感想をそのままスキャンして掲載していますが、直筆で感想を寄せてもらうために専用の「お客様の声」用紙を準備し、手書きのお礼状と粗品を“先に送る”といった工夫をしています。こうして集めた声を多数紹介していけば、お店の賑わいにも結びついていき、お店に対する信頼を高めることにもつながっていきます。
川近 充:ネット通販立ち上げ運営代行サービス『売上伸ばします課』を提供する、株式会社ソキュアス代表取締役。東京都立科学技術大学(現:首都大学東京)工学部航空宇宙システム工学科卒業。同大学院修士課程修了。ホームページを活用したマーケティングでは集客以降のプロセスの改善を専門とし、成約率の向上・販売単価の向上・リピート率の向上を手がける。