過去の記事が埋もれやすいのは、単にサイトのデザインの問題
―― 更新の実際をお聞きした上で、個人的に一番感心するのは、やはり更新時期に関係なく記事をチョイスする姿勢です。一般的には、企業のニュースサイトでも個人のブログでも、半年前や一年前に書いた記事は一度埋もれるとなかなか見られなくなりますよね。そこにスポットを当ててくれるというのは、記事を書く側からするととても嬉しいんですよ。
From E 全ての人が毎日訪れる訳でなく、また実際古い記事は読まれにくい傾向がある為、私も4日1回ペースで更新しています。せっかく紹介した記事がすぐに流れてしまうのは嫌なんですよね。だけどそれはネットの構造というよりも、サイトのデザインの問題だと思います。
たとえばブログにしても、左右の欄に過去の記事の見出しが並んでいたらすぐにアクセスできるじゃないですか。でも、過去の記事を見やすくまとめていないブログだと、1ページ1ページを順に辿っていくしかなくてすごく面倒になります。その先に面白い記事があるという確約もないですから、それで挫折してしまう読者が多いんじゃないでしょうかね。
だから、本当に単純なことで、トップページに過去の記事にジャンプしやすいちょっとした工夫があれば、ブログであれ企業のサイトであれ、過去の記事が埋もれにくくなると思いますよ。HTML手打ちの時代なら管理人の問題で、今はブログサービスの問題という違いはありますけどね。
―― なるほど。あとお聞きしたいのは、ニュースサイト管理人としての意識です。ニュースサイトを運営されている方には、ご自分の個性を前面に出す人と裏方に回る意識の人がいます。From Eさんは情報の集め方がかなり個性的ですが、「俺の編集の技を見ろ!」みたいな意識はありますか?
From E 紹介した記事をより多くの人に見てもらいたいからアクセス数が増えていってほしいという意識はありますが、私個人に注目してほしいというのはまったくないですね。
ただ……駄文にゅうすでニュースを拾われる方も結構いらっしゃるんですけど、その際に情報元を併記してほしいという思いは少しあります。まれに、こちらが書いたリンク見出し文の誤字をそのまま訂正せずに紹介している人がいたりと、そういうのは正直ちょっと……(笑)。
―― まあ、一次ソースさえ示さない人もいますしね。参照URLを貼らずに自分が書いた記事のほぼ全文をコピペされたのを見ると普通に腹立ちますから(笑)。
From E あと、そうやって紹介された記事が誤報だった場合、あとから自分のサイトに訂正記事を載せても、そこにたどり着かない読者が増えるというのも怖いんですよ。リンクを貼る単位がニュース単位なのは当然だと思いますが、そうやって誤報が広まっていって、しかも、その誤報が訂正されないまま広がって放置されると何の対処もできなくなるという。そのあたりは個人ニュースサイトの怖いところだと思いますね。
―― では最後に。「はっぴい!ぱらだいす!」では、2002年頃まで自作イラストやFlashアニメの新作を発表していましたが、ニュースを紡ぐ傍らで、そうした自作コンテンツを発表したいという欲求が出ることはありませんか?
From E 今はないですねえ。あの頃はネットにつないで、そこに作品を公開するというのが楽しい時期だったんですが、今は見る方が面白いんですよ。まあ、Flashを作ったといっても、BGMが借り物だから純粋な一次コンテンツではなかったですしね。
実は今もFlashを作ることもあるんですが、色々と著作権的にグレーゾーンなので公開はしません。自分で楽しむぶんにはJASRACに怒られないですから(笑)。それに、今ネットに上がっている作品はクオリティが上がっているので、下手なものが公開できないというのもあります。「見ている方が面白い」という心境になったのもありますが。
今後もそんな感じで、面白いものを見つけて、多くの人に紹介するスタンスでいくと思います。
筆者紹介──古田雄介
元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。現在、ASCII.jpの姉妹サイト「wakuteka.jp」にて、当連載50回記念特集「もっと顔の見えるインターネット」を更新中です。「古田雄介のブログ」では、皆さんのお勧めサイトを募集中です。
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