メインストリームにはRV730を
ハイエンドとのギャップはRV770で埋める
メインストリーム向けには、シェーダーの数を減らした「RV730」コアベースの「Radeon HD 4650/4670」が2008年9月に発表される。同時に、さらにシェーダーの数を減らしたバリュー向けの「RV710」コアベースの「Radeon HD 4350/4550」も発表される。
Radeon HD 4650/4670については、コアの構成は一緒で動作周波数とメモリーの種類のみで差別化がなされた。Radeon HD 4670は消費電力が59W、Radeon HD 4650は48Wと、いずれも「補助電源コネクターが要らない」のが売りのひとつであった。またRadeon HD 4350については、当初はこの型番にならない(Radeon HD 4550で統一する予定だった)はずだったが、やはりメモリーの帯域が低い分性能も下がるということで、“4350”としたようだ。
さて、当初はこのラインナップで製品が展開されたが、このままではRadeon HD 4850とRadeon HD 4670の性能ギャップが大きい。そこで、この差を埋める製品ラインナップが追加されることになった。まず最初に出たのが、Radeon HD 4850と同じRV770をベースとしながら、シェーダーを2割ほど無効化し、かつ動作周波数を落とした「Radeon HD 4830」である。
この製品の場合、カード自体やメモリーなどはRadeon HD 4850と同一だが、コアの性能を落とした分価格もやや落とすといったポジションだ。当時、Radeon HD 4850はNVIDIAの「GeForce 9800 GTX/GTX+」と競合する150~200ドル(約1万3800円~約1万8400円)の価格帯で販売されていた。そこでRadeon HD 4830はその下、「GeForce 9800 GT」と競合する100~150ドル(約9200円~約1万3800円)の価格帯に投入された。
このRadeon HD 4830のラインナップを引き継いだのが、2009年4月に発表された「Radeon HD 4770」だ。RV770コアを台湾TSMC社の40nmプロセスで製造した「RV740」コアを採用した製品である。シェーダーの数はRadeon HD 4830と一緒、コアの動作速度も一緒だが、メモリーバス幅はメインストリーム向けのRV730と同じ128bit幅になっていて、これによる性能低下を補うため、GDDR5が利用できる。
厳密に言えば、Radeon HD 4830と同じメモリー帯域を確保するためには3.6GHzの転送速度が必要なのだが、これが3.2GHzどまりとなっているので若干性能が落ちている(そのために番号がやや低めになっている)。一方で消費電力はRadeon HD 4830の100W前後に対して、80Wまで落としており、消費電力あたりの性能という観点で大々的にアピールした。
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