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初心者歓迎!ネットワークセキュリティ入門 第6回

ネットワークの脅威と対策を一から学ぼう

通信サービスを安価にしたVPNの秘密

2009年09月16日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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VPNサービスの始祖フレームリレー

 通信事業者は、VPNの仕組みを古くからWANサービスとして提供していた。こうしたVPNサービスのはしりは、1990年代初頭に登場した「フレームリレー(FR)」であろう。

 フレームリレーは、専用のパケット交換機で構成されたフレームリレー網を、複数のユーザーで共有するパケット交換サービスだ。契約したユーザーは、各拠点から最寄りのPOI※2までを専用線等でつなげば、フレームリレー網を利用できる。ユーザーごとに「VC(Virtual Circuit)」という仮想通信路を設定できるので、複数のユーザーでも、通信は混じらない。

※2:POI Point Of Interfaceの略で、各通信事業者のサービス管轄を表わす「相互接続点」を指す。専用線は、ユーザー宅からPOIまでのアクセス回線と、それ以降の中継網の利用料を合算することで料金が算出される。

 当然、網を共用しているため、他のユーザーのトラフィックの増加などの影響を受ける可能性もある。これに対してフレームリレーではCIR(Committed Information Rate:認定情報レート)という保証速度が用意される。他のトラフィックでユーザーの利用可能な帯域が圧迫されて、パケットが混雑(ふくそう)するのを防ぐため、CIR以下には落ちないよう保証される。

 フレームリレーは拠点間接続の定番となった。たとえば、東京本社と大阪支社を結ぶのであれば、両方とも専用線でつなぐのは、あくまで最寄りのPOIまでなので、拠点同士を直結する必要がない。多くの拠点を相互接続する用途であれば、従来の専用線での接続に比べて、コストを大幅にカットすることができる。

(次ページ、「ブロードバンド前提のさまざまなVPN」に続く)


 

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