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Analyticsで検索トラフィックのアクセス解析 (2/4)

2009年09月15日 07時00分更新

文●中野克平/デジタルコンテンツ部編成課

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検索エンジントラフィック分析の「罠」とは?

 検索エンジントラフィックの変化に気づくには、Webサイト全体の指標を先週と先々週、先月と先々月、今期と前期の同時期など、さまざまな単位で比較し続けるしかありません。さっそく、ASCII.jpのあるサブドメインで、指標を比較してみましょう。

期間1 期間2 増減
全体 セッション数 1,169,670 1,205,927 +3.10%
平均ページビュー 4.25 4.01 -5.49%
ページビュー 4,966,482 4,839,454 -2.56%
直帰率 44.60% 45.36% +1.71%
ノーリファラー セッション数 258,914 257,909 -0.39%
構成比 22.14% 21.39% -3.38%
平均ページビュー 4.71 4.51 -4.14%
直帰率 38.99% 39.45% +1.16%
参照サイト セッション数 409.859 409,779 -0.02%
構成比 35.04% 33.98% -3.03%
平均ページビュー 4.08 3.92 -3.98%
直帰率 44.46% 43.00% -3.29%
検索エンジン セッション数 500,897 538.239 +7.46%
構成比 42.82% 44.63% +4.22%
平均ページビュー 4.14 3.85 -7.16%
直帰率 47.61% 50.00% +5.01%

 多くの指標がありますが、変化に気づくために必要なのは、赤、緑になっている太字の箇所だけです。このサブドメイン全体では、期間1に比べて期間2ではセッション数が3.10%増えましたが、平均ページビューは5.49%少なくなり、ページビューは2.56%減りました。トラフィック別に見ると、ノーリファラーと参照サイトではセッション数がわずかに落ち込み、平均ページビューがやや少なくなっています。

 一方、検索エンジンのセッション数は7.46%増えていますが、平均ページビューは7.16%減っています。平均ページビューがどのトラフィックでも減っているので、平均ページビューが落ち込んだ原因は、記事の作り方に問題がありそうです。では、検索エンジンのセッション数はなぜ7.46%増えたのでしょうか。この疑問から、検索エンジントラフィックの分析が始まります。

「ユーザーが検索エンジンで、どんなキーワードを調べたのか見るわけですね」――Google Analyticsには多くの罠がありますが、検索エンジントラフィックの増減を特定のキーワードと結びつけて考えるのも、罠の1つです。

「えぇっ!」――確かに、ユーザーが何かの調べごとがあって検索エンジンでキーワードを入力し、検索エンジンからWebサイトにユーザーが送り込まれてきますが、検索エンジントラフィックのセッション数を決めるのは、キーワードが検索される回数(検索ボリューム)とそのキーワードを検索したときの自サイトの表示順位であって、キーワードそのものではないからです。

 たとえば、「ワイン」というキーワードがGoogleでは1日1万回、Yahoo! JAPANでは1日4万回検索されるとしましょう。あるサイトの「ワイン」の検索順位がGoogleで1位、Yahoo! JAPANで100位だとして、検索順位1位のサイトには検索ボリュームの半分のセッションが発生するとしたら、Googleからは1日5000セッションのトラフィックが見込めますが、Yahoo! JAPANからはほとんど見込めません。

 一方、「チーズ」というキーワードはGoogleでは1日5000回、Yahoo! JAPANでは1日2万回検索されるとしましょう。あるサイトの「チーズ」の検索順位がGoogleで100位、Yahoo! JAPANで1位だとしたら、Yahoo! JAPANからは1日1万セッションのトラフィックが見込めますが、Googleからはほとんど見込めません。このとき、「ワイン」のセッション数は5000、チーズのセッション数は1万になりますが、「ユーザーはワインよりもチーズを調べている」と判断するのは愚かです。しかも、キーワードに対する自サイトのページの検索順位は、検索エンジンのアルゴリズムの変更やライバルサイトの状況によって日々変化します。したがって、検索エンジントラフィックの増減の原因を知るには、まず検索エンジンごとのセッション数を調べる必要があるのです。

 以下は、期間1と期間2で、検索エンジントラフィックのセッション数を表示した表です。

期間1と期間2で、検索エンジントラフィックのセッション数を表示した表

Google Analyticsで検索エンジンごとのトラフィックの増減を見るには、「トラフィック」→「検索エンジン」メニューで「検索エンジン」レポートを表示し、期間の「比較」チェックボックスをONにする


 この表によると、Googleからのトラフィックは期間1が41万148セッション、期間2が44万2809で3万2661セッション(7.96%)増加、Yahoo! JAPANからのトラフィックは期間1が7万6152セッション、期間2が7万9220で3068セッション(4.03%)増加しています。また、新規セッション率がGoogleでは27.72%から31.74%に4.02ポイント(14.50%)増加、Yahoo! JAPANでは45.10%から46.95%に1.85ポイント(4.11%)増加していることが分かります。したがって、検索エンジントラフィックが50万897セッションから53万8239セッションに3万7342セッション(7.46%)増加した原因は、は、Googleの増加分3万2661セッションでほぼ説明できます。こうして原因がどこにありそうかの見立てをした上で、

  • Googleで増えたキーワードは何か?
  • Googleで新規セッション率が増えたキーワードは何か?

を調べれば、なぜGoogleからのセッションが増えたのか分かります。ここで初めて、キーワードを分析する視点が定まりました。

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