このページの本文へ

1人30通は当たり前!顧客主義を貫くチャリンコメール道 (2/3)

2009年09月11日 14時43分更新

文●三浦たまみ

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

600ページものPDFで“近所の自転車屋”並みのサービスを提供

 『サイクルサービスおおやま』は、購入後のアフターフォローも万全の態勢を取っています。これも、『おおやま』が多くの顧客に支持されている理由の1つといえます。そもそも自転車は、購入後にトラブルが多発する可能性があり、修理が必要になるため、ネット向きの商材とはいえません。しかし大山さんは、近所の自転車屋と同等のサービスをネット上で受けられるような態勢を整えたのです。

 大山さんは、日々のメンテナンス方法やトラブル時の修理方法などをPDFファイルにまとめ、サイト内に設けたメンバーサポートのページに掲載。自転車購入者は、IDとパスワードを入力すれば、いつでも閲覧できるようになっています。PDFは、「日常のメンテナンス」など、テーマごとに分けて写真やイラスト入りで詳しく紹介し、プリントして保管できるようにA4サイズで見やすく制作しています。

サイクルサービスおおやま

『おおやま』が顧客向けに提供しているPDFの一部

「スポーツ自転車を初めて購入した初心者ほど、『普段とは異なる金属音がした』というだけでも、修理が必要なのかと不安に思ってしまうもの。でも実は自転車は、トラブルが起きても、やり方さえ分かれば自力で直せることも多いんです。その手助けになればいいなと思って作り始めました」

 サイトに掲載しているPDFファイルは、なんと135ページ! それだけでも驚きですが、実はサイトに掲載している以外にも、さらに500ページ近くものPDFが大山さんの手元にはストックされています。12年の年月をかけて、大山さんが地道にこつこつ作りあげていったものです。

「お客様からの質問に対して返信するとき、『写真が1枚あれば一発で説明できるのに!』と歯がゆい思いをすることがたびたびあります。写真があった方が分かりやすいと感じた質問や、よくある問い合わせなどで説明が必要なものを中心にPDFにしておき、必要に応じて、お客様のメールに添付して返信しています。今ではお客様からいただく質問のほとんどは、サイト上か手元にあるPDFファイルで対応できますから、時間の効率化にも役立っています」


 きめ細やかで丁寧な対応から、大山さんに好感を持ち、わざわざ実店舗まで来店してくる人は少なくありません。『サイクルサービスおおやま』は、実店舗の運営にも力を注ぎ、当初ネットショップと逆転していた売上は、実店舗が上回るようになりました。このあたりの事情は、次回、詳しくお伝えします。

この連載の記事

一覧へ

この記事の編集者は以下の記事をオススメしています