Core i5-750のパフォーマンスをチェック
さて新しいCore iシリーズのパフォーマンスをチェックしてみよう。用意した機材は次の表のとおり、Core i5-750とGIGABYEのGA-P55-UD6、そして比較するのはCore i7-920/2.66GHzだ。いずれもIntel Turbo Boostを有効にし、メモリはPC3-10600(DDR3-1333MHz)、ビデオカードはGeForceGTX 275を使用している。
どちらも2.66GHzで、異なるのはTurbo Boost時のCPUクロックと、4スレッドか8スレッド処理、そしてメモリアクセスがデュアルチャネルか、トリプルチャネルかという点だ。メモリ容量も異なっているが、OSに32bit版のWindows 7を使っているため、OSから見える容量はどちらも3GBとなる。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Core i5-750(2.66GHz) Core i7-920(2.66GHz) |
マザーボード | GIGABYE「GA-P55-UD6」(Intel P55 Express) ASUSTeK「P6T Deluxe V2」(Intel X58 Express) |
メモリー | PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2 PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×3 |
ビデオカード | GeForce GTX 275 |
電源 | Corsair「CMPSU-850HX」(850W) |
OS | Windows 7 (32bit版RTM) |
予想どおりメモリ周りが弱点のi5-750
しかし3Dベンチマークではi7-920に迫る
では、実際にベンチマークを見てみよう。まずはSandra2009でざっくりと傾向を掴んでみる。もっとも気になるメモリ帯域だが、i5-750はi7-920の2/3程度のパフォーマンス、つまり理論上のスペックと一致していることが分かる。このことから、メモリコントローラのアーキテクチャそのものは変更されてないようだ。
続いてプロセッサ性能を見ていこう。 Processor Arithmeticを見ると意外と差が付いている。確かに処理できるスレッド数が異なるとはいえ、どちらも物理コアは4であり、さらにデフォルトクロックは同一、そしてi5-750はTurbo Boost時にi7-920を大きく上回るということを考えると、ここまで差が出るのは正直予想外だった。特にWhetstone iSSE3では倍近い差がある点が気にかかるところだ。
次はマルチメディア処理のテストだが、こちらも差の開きが大きい箇所と、そうではない箇所がある。差が開いてる箇所は、iSSE2を使用している2ヵ所だ。どちらもパフォーマンスは2/3程度となっている。これはメモリ帯域の差と一致した結果であり、Core iシリーズのアーキテクチャがメモリ帯域の影響を色濃く受けるという可能性を示している。
続いては、コア間の転送能力をMulti-Core Effciencyで見てみる。i7-920が37GB/secなのに対し、i5-750は13GB/secと1/3にまで落ち込んでいる。それを裏付けるかのように、レイテンシも3倍近くの差が開いている(レイテンシは遅延時間のことなので、グラフのバーが短い方が優秀)。
コア間の転送能力をブロックサイズ別に見たのが下のグラフだ。i5-750が前半の小さなブロックサイズで全くスコアが伸びていないことが見て取れる。ベンチマークアプリケーションが正しくスコアを取得できていない可能性は高いが、これが正しく計測された結果という可能性も捨て切れない。もし正しいとすれば、i5-750はCPU間の転送に何らかのペナルティを抱えている可能性が推測される。
(次ページへ続く)
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