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ゼロからはじめるストレージ入門 第4回

コンポーネントの二重化とデータ消去を防ぐ技術を知ろう

ストレージの信頼性を高める仕組みとは?

2009年09月18日 09時00分更新

文● 吉田尚壮/EMCジャパン株式会社 グローバル・サービス統括本部 テクノロジー・ソリューションズ本部 技術部 テクノロジー・コンサルタント

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データ消失を防ぐアーキテクチャ

 電源装置が二重化されていても、外部からの電源供給が突然止まってしまうなど予期せぬ停止の際にデータ消失を防ぐ仕組みが必要である。サーバからの書き込みデータは、ストレージアレイのキャッシュメモリ上に一時的に保存される。しかし、このキャッシュメモリは電源の供給がなくなるとデータが消えてしまう揮発性半導体メモリを採用している製品が多い。

図3 予備電源供給の効果。外部からの電源供給停止時に、予備電源を利用してキャッシュ上のデータをHDDへ書込み、正常シャットダウンを行なう

 この問題を補うのが、スタンバイ・パワー・サプライ(予備電源供給装置)である。この予備電源は、外部からの電源供給停止時にバッテリーとしてストレージプロセッサとHDDに電源を供給し続ける。これにより、キャッシュメモリ上のデータは安全にHDDに保存され、システム自体も正常にシャットダウンされるため、データ消失を防ぐことができるのである。

 なお、この予備電源はキャッシュメモリのデータ保護が目的である点や、バッテリーからの電源供給時間が短いという点において、UPS(無停電電源装置)とは位置付けが大きく違う。UPSは、瞬間的な電源電圧の低下やノイズが発生しても安定した電力を供給し、停電時にもバッテリーから長時間電源を供給する装置である。

 また、ストレージ製品の中には、単純にバッテリーで揮発性メモリに電源を供給し続けるだけのものもあるが、停電時間が長引いてバッテリーの電源供給時間を超えてしまうと、結局データは消えてしまう。そのため、電源供給だけでなくHDDへデータを書き込む仕組みがなければ安全といえない。

 一方、このキャッシュメモリに「不揮発性半導体メモリ」を採用しているストレージもある。不揮発メモリは、電源が供給されなくてもデータが維持されるメリットがある。しかし、揮発性メモリと比較してアクセスが遅く高価であるという一面があり、ストレージのキャッシュメモリとしては一般的ではない

拡張性を高めるアーキテクチャ

 拡張性の観点では、HDD、コントローラ、キャッシュメモリ、インターフェイスの拡張などが挙げられる。それぞれ簡単に触れておこう。

HDDの増設

 ストレージアレイの場合、HDDを搭載する専用のコンポーネント(ディスクエンクロージャ)を追加増設することで、記憶容量を拡張できる。ただし、モデルによってはストレージアレイに搭載できるHDDの数に制限があるので注意しておきたい。

ストレージプロセッサおよびキャッシュメモリ

 ストレージアレイにおいては、HDD上にデータを残したままCPUとメモリを搭載したストレージプロセッサ自体を新しい筐体に拡張できることが重要なポイントとなる。なお、ストレージ製品によっては、キャッシュメモリだけ増設できるモデルも存在している。

インターフェイス

 通常、ストレージのインターフェイスとしては、FCやiSCSI接続向けのインターフェイスが装備されている。それらのインターフェイスを増設できることはもちろん、将来にわたって最新の技術にも対応できることが望ましい。ちなみに、今後は「FC向け8Gbpsインターフェイス」や「iSCSI向け10Gbpsインターフェイス」が急速に普及すると考えられる。

図4 インターフェイスのスケールアップ

ストレージ製品のモデルによる違い

 ここで、ストレージアレイ製品のモデルによる違いについても簡単に触れておこう。ストレージアレイ製品のモデルは、小規模、中規模、大規模環境向けの3つのカテゴリーに大きく分けることができる。主なアーキテクチャの違いを列挙してみると(下表)、信頼性や拡張性において大きな差異があることがお分かりいただけるだろう。

表1 モデルによる主なアーキテクチャの違い
モデル小規模向け中規模向け大規模向け
ストレージタイプRAIDタイプインテリジェントインテリジェントインテリジェント
ストレージプロセッサの構成なし(RAIDコントローラのみ/冗長構成可能)あり(冗長構成可能)あり(冗長構成が基本)あり(冗長構成または多重構成)
キャッシュメモリの有無なしありありあり
インターフェイスの拡張性拡張性なし(または限定的)限定的な拡張性高い拡張性非常に高い拡張性
電源/ファンの構成シングル構成冗長構成可能冗長構成が基本冗長構成が基本

 その他にも、ストレージプロセッサのCPUクロック数やキャッシュメモリ容量、搭載可能なHDD台数などモデルによって大きな違いがある。これらアーキテクチャの差異が、結果的にストレージアレイの可用性や性能の違いにつながる。実際に機器選定する場合、アーキテクチャの違いや接続するサーバ数、データの容量なども考慮して最適な製品を選んでいただきたい。

そのほかのアーキテクチャ「クラスタストレージ」

 これまで、標準的な企業向けストレージのアーキテクチャの概要を見てきたが、近年、まったく異なるアーキテクチャで構成されるストレージも開発された。それは「クラスタストレージ」である。

 クラスタストレージは、CPU、キャッシュメモリ、HDD、ネットワークインターフェイスを搭載している「ノード」を基本単位として、ノード間をクラスタ接続することで容量と全体としてのスループットも向上するとされている。クラスタストレージでは、おもに安価なSATA HDDが利用されており、性能よりもコスト重視で選ばれているケースが多い

図5 クラスタストレージにおけるスケールアウト(ノード追加)のイメージ

 次回は、標準的なアーキテクチャの続きとして、ストレージアレイの性能面にフォーカスし、性能を高める技術や機能について解説したい。

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