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Windows 7はビジネスPCを変えるか? 第3回

富士通に聞く、法人向けWindows 7戦略

2009年09月03日 09時00分更新

文● 遠竹智寿子

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教育機関や官公庁の需要に期待

 それでは、2009年後半から2010年にかけて富士通は、市場動向をどう捉え、どのような戦略を展開するつもりなのだろうか?

市場は厳しいと見ながらも、ユーザーニーズをくみ上げた細かな対応をしていきたいと話す水内氏

水内 「市場はまだまだ厳しいとみています。マーケティング調査の数字を踏まえつつ、ワールドビジネスという視点で今年後半のビジネスを考えていきます。(今年後半の伸びを期待しつつ)ビジネスPCに関しては“二桁伸長”は果たしたい」

 期待する分野は「教育機関や官公庁の大型案件」だ。これは、過去最大となる約15兆円の補正予算が組まれた政府補助金を見越してのもの。文教・公共分野でのIT投資が活性化すると同社では見ている。

 補正予算に組み込まれた「スクール・ニューディール」構想下では、総額1兆1000億円がIT環境整備や耐震工事に充てられる。その中での学校ICT環境整備の事業費総額は4000億円となっており、全国の学校数で割ると、パソコンや電子黒板等の導入を含め1校当たり約1100万円の整備が可能となっている(文部科学省発表による)。

 しかし、教育機関や官公庁などの大型案件で、果たして「Windows 7搭載モデル」の導入は現実的なのだろうか? 同時に一般企業の買い替え需要も含め、現状でメーカー側が感じる顧客側の「Windows 7」への反応はどうなっているのだろうか?



Vistaの二の舞は演じたくない?

 取材に際して水内・鶴見氏の両氏が口を揃えたのは「お客様はどこもWindows 7についての詳細を知りたがっている」という点だ。それはどうやら「Windows Vistaの二の舞を演じたくない」という思いの強さが表れているようだ。

 技術担当の鶴見氏のコメントも冷静だ。

Windows 7の低消費電力化に期待を示す、鶴見氏

鶴見 「我々メーカーは、マイクロソフトから、機能の詳細についてきちんと説明を受けながら製品の開発を進めています。しかしながら、ユーザーの反応を冷静に見ていくと、一部の機能情報ばかりが持ち出されている印象があります。これではWindows 7に即座に飛び付くことはできないでしょう。特に今使っている自分のパソコンをWindows 7に入れ替えられるのか、と心配されているように感じます」

 鶴見氏は「コストを掛けずにWindows XPで使っていたソフトウェアが、そのまま使える“XPモード”は大きな利点だ」と話す。また、パワーマネージメント制御機能付きのエコモデルなどは、Windows 7との組み合わせで、さらなる消費電力の低減が進むのではないかと期待を示す。

鶴見 「現在市場投入している製品に、Windows XPで24Wの低消費電力を実現したものがあります。Windows 7ならもっと低消費電力が実現できるのではないかと検証中です」

 一方マーケティング的な観点では、Windows XPはそろそろ限界という印象も強いようだ。

水内 「ソフトウェアの互換性や、高いハードウェアスペックを要求される点などで、Windows Vistaに対するユーザーの印象は、あまり良くありませんでした。それが市場全体の傾向だった点は否めません。とはいえ、Windows XPが登場したのは2002年。市場はすっかり成熟し切ってしまいました。Windows 7のリリースを機にパソコンの買い替え需要が高まるのを期待したいところです」

 現在富士通が取り扱うビジネスPCの案件は、約7割がXPモデルだ。Vistaへの移行は進んでいない。新しいOSは気になるが、Vistaの経験から慎重にならざるを得ないというのも実情だ。結果的に「Windows XP、Windows Vista、Windows 7の3種類」を準備して、ニーズを踏まえながら慎重に進んで行くのが、当面の方向性にならざるを得ない。

水内 「ユーザーにしてみれば、“Windows 7”でなければいけないという強いニーズがまだ見えてこない面があると思います。64ビット化にしても、Windows 7スタート後に加速するかどうかは分かりません。(大容量のメモリーを載せるというニーズも)ワークステーションなど、まだまだ特殊な分野のみとなっています」

 いずれにしても企業ユーザーの多くは、IT投資に対して「守りの姿勢」を取っている。積極的な導入を検討するのは、コンシューマ市場での評価が固まってからになるだろう。特に大規模な案件では評価にも時間がかかるため、OSがリリースされたから、即Windows 7へ移行するわけではないだろうという分析だ。

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