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夏休みの自由研究がまだ終わっていない人に

防災の日企画! 地震を検知するお手軽キット

2009年09月01日 18時41分更新

文● 藤山哲人

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地震の原因はプレートだけじゃない!
日本は地震まみれ!

 これまでプレートに起因する地震を見てきたが、ニュースではたびたび「内陸部の直下型地震」や「活断層によるもの」という言葉も耳にする。先の中越地震や阪神大震災もこのタイプだ。

 これらはプレートから離れた場所で発生する地震だが、大元をたどっていくとやっぱりプレートが原因。4枚のプレートがせめぎあう日本では、それぞれが互いに押し合いへし合いするため、広範囲にわたって複雑に歪みが蓄積される。歪みはプレート先端だけでなく、岩盤が岩盤を押し合いプレートから数百km離れた部分にも伝達されるのだ。そこに弱い岩盤があったとすると……。

 その通り! 折れたり、ズレたり、滑ったりする。これが断層であり、内陸部で発生する直下型地震だ。断層は、盛んに活動(歪みがたまったりズレている)する活断層と、すでに活動していない断層があるが、突如として活動を再開する断層もあるため予測が難しい。日本列島をCTスキャンやMRIで調べられれば、歪みの蓄積している箇所も特定できるが、なにせ地下何十kmに渡る世界なのでそれは無理。この手の地震は予測できず、地震が起きてから「あ~、やっぱアノ断層は弱くて歪んでたんだぁ」となる。

 また、プレートが地中に潜り、マントルに熱せられて破断するなどの地震もある。このタイプの地震は、地中深くで発生するため被害は少ない。とはいえ、1993年に釧路沖で発生した地震では、震源の深さが101kmと深かったにもかかわらず、震度6を記録する場合などもあり、予測不能な上に侮れない地震だ。

 それ以外にも火山の噴火による地震もある。とはいえコレも大本はプレートの移動。プレートに押された岩盤に亀裂ができ、地下からマグマが吹き出すからだ。記憶に新しいのは、三宅島の噴火による火山性の地震だろう。活火山も多い日本では、こちらも注意が必要だ。

地震をいち早く検知するキットを見つけた!

 さまざまな科学的アプローチで地震予知をしようとしているが、プレートに起因する地震が何十年の幅を持って予知できるのがやっとという技術の限界。

 かたや大地震が起きるとワイドショーなどで盛んに放送する、予知した人たちの声。「空の色がおかしかった」「犬がやたらにほえた」「ミミズが土からはい出て塊になっていた」「地震雲を見た」などなど、諸説いろいろある。もう少しソレらしい(笑)例としては「テレビの画像が乱れた」「FMが受信できなくなった」なども報告されている。もっとも有名なのは「地震の前にナマズが暴れだす」だろう。ただこれらを「迷信」と片付けてしまってはいけない。

 考古学と同じで「ナスカの地上絵はUFOの飛行場だ!」という説もあれば、「祭りを示すカレンダーだ!」という説も、「水脈を示した雨乞いの儀式」というのもある。いずれも学者が発表すれば、それは「学説」のひとつとなり、どんなにトンデモ学説でも研究対象になる。しかし、学説のひとつひとつを吟味し、証拠などが発見されると、学説のひとつが正しかったと分かる(地上絵は、3番目が今有力説と言われている。十年前までは2番目だったのに……)。

 地震予知も同様で、科学的なアプローチとして地震発生前に発生するといわれている電波の受信、また電磁波の変化の研究もあれば、電離層がかく乱されるとしてGPSやさまざまな周波数帯の電波の変化を調べる研究もある。また地中の水脈(温泉など)で放射性の物質の変化を調べている先生などいる。もちろん雲や空と地震の関連性を調べている研究者もいる。

普段は穏やかな電場でも、周囲に異変が起こるとソレを検知できる

 「迷信」と思われている言い伝えも、科学的なアプローチと一致して、いつしかそれが正しい説だったと言える日が来るだろう。

 現在、最も理にかなっていると言われているのが「ナマズ」の言い伝えだ。ナマズは全身に微弱電気を捕らえる器官を持っており、その感度は1/10万(0.00001)ボルトを捕らえられるという。これは普通のテスターじゃ計測できないどころか、人間の感覚の100万倍にあたる、超高性能センサだ。ナマズはこの器官を利用して、暗闇の海の中でも回りで泳いでいる小魚の方位や距離を知り捕獲するのだ。

 管制塔などにある全方位レーダーをイメージしてほしい。自分の周りには、目には見えないが確実に「電波」がある。電波はプールの水のように、自分以外になにもなければ穏やかな状態だ。しかし、プールに石を投げ入れると、それは波として伝わり何かあったことが分かる。そして波の中心部を探してみれば、波を作った原因をピンポイントで特定できるというわけ。実際のレーダーは、電波を送って反射波を捕らえているのでしくみは違うという件は、ノークレームでよろしく!

 筋肉を動かすと微弱な電流が流れるというのはテレビでもおなじみ。小魚の場合もしかりだ。ナマズは周囲の電場を常に監視しており、泳ぐ小魚の筋肉がその電場を乱すため、位置を特定できる。

 この原理を応用したのが、エヌアンドエスより発売されている静電場センサ組立キットだ。価格は8400円。なお、筆者は秋葉原の千石電商(本店)2階で購入した。

静電場センサ組み立てキット。左がわの金属球が静電場を検知するセンサ

(次ページへ続く)

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