Snow Leopardの深層・その1
やっぱりスゴい! Snow Leopardの「64bit対応」
2009年09月01日 12時00分更新
ひとつのアプリで32/64bitをカバー
こうしたCPUの使い方もさることながら、それ以外の面でもWindowsには64bitに移行するに当たっての障壁がある。
例えば、同じWindowsでも32bit版と64bit版は「別のOS」だ。
Windows XPでは、32bitの「Professional」と64bitの「Professional x64」は別に購入する必要があった。Windows Vistaでは、ひとつのライセンスで32bitも64bitも両対応になったが、Ultimateを除いて64bitのメディアは実費で請求された。Windows 7では、ようやく32bitと64bitの双方のメディアがひとつのパッケージに同梱される。
Windowsでも少しずつ64bitを導入しやすくなっているが、しかしWindows 7になっても32bitから64bitへの移行は「再インストール」を伴う。64bitの互換モードでアプリケーションが正しく動かなかった、動いたけど必要なプラグインが64bitに非対応だった、使っている機器の64bit版デバイスドライバーがなかったといった理由で32bit版に戻したいときにも再インストールが必要だ。
OSの再インストールとそれに伴う環境の再構築は、Windowsのユーザならば「いつものこと」かもしれないが、時間がかかって面倒なのは確かだろう。「32bit OSが使えるなら……」と、移行が先送りされてしまうのも無理はない。ほかOSで64bit化が進まないのは、こうした移行の障壁があるからだ。
しかし、OS Xは異なる。「Universal Binary」の仕組みのおかげで、32bitと64bit、双方のバイナリーをひとつのアプリケーションに含めておける。OSが32bitか64bitか、CPUがIntel製かPowerPCかで、別々のパッケージを用意する必要がない。アプリケーションが64bitで動作しなければ、チェックボックスひとつで32bitとして動かせる。これは開発者としてもユーザーとしても非常に便利だ。
OSだって、32bitカーネルと64bitカーネルはひとつのバイナリーで、ひとつのOSとしてインストールされる。64bitに切り替えるのに再インストールなどという手間はない。「6」と「4」のキー、あるいは「3」と「2」のキーを押して起動するだけだ。これならば64bitへの移行もそう高い壁ではない。
逆に、ここまで64bitに来ているため、今日明日で急いですべてを64bitだけにする必要はない。32bitカーネルでも広いメモリーが利用可能で、64bitアプリケーションも動作し、それなりのパフォーマンス向上が見込めるのだ。直面する4GBの壁に苦しむWindowsとは、余裕の度合いが違うだろう。

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