インターネットでは経路制御に依存
では、インターネットにおいてはどうなるのだろうか。結論を先にいってしまうと、経路途中にあるルータが持つ経路制御情報(ルーティングテーブル)がどこを指し示しているかに依存する。
インターネットで使用するIPアドレスは、「グローバルIPアドレス」と呼ばれる。グローバルIPアドレスは、インターネット資源の管理および調整を行なう国際機関「ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)」の一機能である「IANA(Internet Assigned Numbers Authority)」が一元的に管理している。このIPアドレスは、必要に応じて地域レジストリである「ARIN(American Registry for Internet Numbers)」や「APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)」に割り振られる。割り振りを受けたAPNICは、さらに「JPNIC(Japan Network Information Center)」のような国別組織などから申請される要求に応じて必要量を割り振り、JPNICはプロバイダから申請を受けてIPアドレスの割り振りを行なっていく。ユーザーは、プロバイダに対してIPアドレスを要求し、そこから割り当てを受けるという手順を経て必要なグローバルIPアドレスを手にするわけだ(図3)。
プロバイダは、ユーザーに対してIPアドレスの割り振りを行なうと、その経路制御に必要な情報をインターネットに対して「広告(経路情報をほかのルータに知らせること)」する。この広告された経路制御情報に従ってインターネット上のルータが自身の持つ経路制御情報を書き換えていくことで、グローバルIPアドレスの到達性が保証されることになる(図4)。
インターネットとの通信は不可能
以上のことからわかる通り、インターネットで使用するグローバルIPアドレスは、その経路制御に責任を持ってくれるプロバイダから割り当てられたものを使う必要がある。この割り当てはプロバイダが管理しているので、重複は起こりえない。
仮に、あるユーザーがプロバイダからの割り当てとは違うグローバルIPアドレスを使っても、そのIPアドレスが使われているという広告をプロバイダは行なわない。そのため、インターネット側からそのユーザーにアクセスすることはできないのだ。つまり、自組織に割り当てられたグローバルIPアドレスをインターネット上のだれかが勝手に使ってしまっても、そちらにインターネットからの通信が届くことはなく、なりすましをされることもまずないので気にすることはない。
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