あえてシーケンサーは載せなかった
―― バージョンアップもしていくと思うのですが、シーケンサーの予定は?
星野 要望としては頂いています。ただシーケンサーを載せると、初めての人にはハードルが上がってしまうし、慣れた人には「結局PCで打ち込んだ方が早い」ということになる。
Denki シーケンサーを載せたiPhoneアプリはいくつかあるんですが、いまいちピンと来るものがないんですよ。そう思っているときにNESynthを見せられて「この方が楽しい、このまま出しちゃった方がいい」と。
星野 Denkiさんのデモ動画もそうですけど、人力でやった方が面白いと思うんですよ。まず色んな人にピコピコ鳴る音を楽しんで欲しいと。やるとすれば、たとえば、シンセのデモにゲームが付いている、みたいな。作らされてる感じがするとダメだと思うんです。
―― シーケンサーがない代わりに、P2Pで接続すると相手のNESynthも鳴るわけですね。これは将来性ありそうですよ。
星野 いいところに目を付けていただきました。今のところ2台同時に鳴っちゃうだけなんですが。接続のネゴシエーションだけBluetoothでやって、演奏データはWi-Fiで飛ばしているんです。Bluetoothだけでは遅延が出るので。
―― 相手の弾いた音をモニターしながら自分でも弾けるという構成にできれば、ミキサーなしでどこでもセッションできそう。
星野 そこはメチャクチャ研究していきたい分野なんですよ。モバイル環境でガジェット楽器らしい使い方ができるものを。いろんな楽器を接続して、面白いことがやれたらいいと思っています。
ニューフォレスターの星野さんには、iPhoneアプリだけでは終わらない野望があるらしい。先にiPhone/iPod touch用のDJアプリ「iPJ」がリリース済みだが、それを利用するハードも同時に開発したいという。ガジェット楽器開発のベンチャー企業として、今後の活動に注目したい。
四本淑三
フリーライター。ヨナオケイシさん、せんたろさんらの編纂によるコンピレーションCD「TOYSTRUMENTAL2 (トイストゥルメンタル・ツー)」ただいま絶賛発売中。KORG DS-10を中心に制作された楽曲集で、baker、Denkitribe、koishistyle他、豪華メンバーが曲を提供。何故か私もその中に入っていますが、ふざけた曲なので、ぜひそこは飛ばしてお楽しみください。