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「勢いだけで作った」チップチューンなiPhoneアプリ

2009年08月30日 12時00分更新

文● 四本淑三

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電源特性まで考慮した音色

―― じゃあ音の話をしましょうか。まず、アプリ上で矩形波※2が3種類選べますよね。

Ruchi 昔のチップは矩形波しか出なかったんです。それで音色のバリエーションを持たせるためにパルス幅※3を変えていたわけですね。

※2 矩形波: 文字通りカクカクした四角い波形。最大値と最小値を行き来するだけの波形なので、少ない情報量で表現できる

※3 パルス幅: 波形の幅を示す割合。1:1なら波形の山と谷の幅は同じ。1:3なら山より谷(あるいは谷より山)が3倍長い。パルス幅によって含まれる倍音列が違い、音色も変化する

「アナログ波形はこんな風で…」と赤でホワイトボードに書き出すRuchi氏。矩形波はパルス幅違いで三種類載っている。上から「1:1」「1:3」「1:7」


―― これはサンプリングじゃないんですよね?

Ruchi はい。アナログ特性※4も考慮してシミュレートしました。デジタルなので綺麗な波形も作れるんですが、最終的なアナログ信号は、決してそうはならないんです。

※4 アナログ特性: チップ内で生成されたデジタル波形が、最終的にアナログ信号として出力された際の特性のこと。アナログのオーディオ信号は、基板上のノイズや増幅などを経て何らかの形で歪んでしまう


―― ベースなんかに使う三角波も入っていますが、これは上の帯域で「ビービー」と鳴る倍音も含んでいます。これはこだわりどころじゃないですか?

Ruchi 音量の解像度が4bitしかないので、16段の階段状の波形になるんです。それ自体にロービット感があるんですが、それぞれ階段の角を丸めて、アナログ特性が再現されるように工夫しています。

4bitの三角波「Δ」はこんな風にギザギザで、上りと下りでひずみ方が違う。上りは角が丸く、下りは凹んだ部分が埋まるような形になるらしい


―― マニアックですねー。

星野 それでもRuchiさんが「子どもの頃に聴いた音と違う」って言うんですよ。

Ruchi 色々調べた結果、電圧の立ち上がりのところで少し遅れのようなものが出るらしいんです。その電源特性もシミュレートしています。


―― ん? 電源特性って何ですか?

Ruchi 公衆電源には関東は50Hz、関西は60Hzという電源周波数があるんですが、それが音に干渉してくるんです。


―― じゃあ厳密に言えば、関東と関西ではゲームの音が違っていたと

Denki イギリスとアメリカでも違ったりして。


―― どうせなら(電源周波数の)切替スイッチがあっても良かったかも知れませんね。

星野 いや、さすがに海外までは……。というか、電源周波数が干渉する要素は部分的にあっても、周波数の違いで大きく音は変わらないので。

Denki 真面目な話をすると、チップチューン音源として見た場合、ロービットノイズが2種類入っているのは貴重です。ノイズまで出せるのはあまりない。効果音やリズムを作ろうとすると、このノイズは効果的に使える場合があります。

音色セッティング画面。ノイズが2種類選択できる。それぞれの音源でアタックとリリースタイムの設定も可能。ただしその効き方はあくまで「8bit」的


―― ここがDenkiさんの押しですね。確かにこのノイズだけでビートが作れちゃう。最後のエフェクトの部分はサンプリングですね?

星野 そうですね、手軽に「らしい」音が楽しめたらという意図で。

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