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編集者の眼第2回

国産のアクセス解析ツールを使う理由って何? (1/2)

2009年08月26日 13時39分更新

文●中野克平/Web Professional編集部

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 自動車や食品なら、「国産」は信頼の証。安心・安全のためなら多少高価でも構わない。しかし、Webアクセス解析になると、国産、ましてや有料のツールは採用候補にも挙がらないこともある。無料といってもGoogle Analyticsの機能は豊富だし、有料のSiteCatalystは、できないことはないくらいに優秀だ。「あえて国産、しかも有料アクセス解析ツールを使う理由なんてあるの?」というのがWebプロフェッショナルの本音だろう。

 しかし、株式会社環のアクセス解析ツール「シビラ(sibulla)」の機能追加ニュースリリースを見て思った。国産のアクセス解析ツールの評価は低すぎるんじゃないか? いや、評価していなかったのは私だけかもしれない。反省も込めて、シビラの新機能を調べてみた。


国産アクセス解析ツールを選ぶ本当の理由

 国産のアクセス解析ツールを使う最大の理由は、データ流出の防止だ。ゴメス・コンサルティングの資料によると、ほとんどの金融機関のWebサイトがGoogle Analyticsを採用していないのは、セキュリティポリシーとして、データをグーグルという外国企業のサーバーに送信させたくないからだという。また、大企業がGoogle Analyticsを採用しないのは、JavaScriptの読み込みに時間がかかり、Webサイト全体のパフォーマンスが落ちる可能性があるからだという。

 では、非金融業、中小企業はGoogle Analyticsを使えばいいのだろうか。どうやら、そうとも限らないようだ、というのがシビラの新機能を見た感想だ。環でシビラの開発を担当している営業統括部の竹内亮介部長によると、「日本の中小企業の現場で本当に必要とされている分析レポートに絞って、毎月機能を追加している」という。

 たとえば、6月に追加された「直接・間接広告効果測定」は、広告宣伝費の削減で、バナー広告を取りやめるべきか躊躇している企業にうれしい機能だ。一般的なアクセス解析ツールでは、広告をキャンペーンとして管理し、キーワードやサイトごとにトラフィックを把握できる。

 しかし、バナーをクリックして直帰したユーザーが10日後に再訪して商品を購入したとき、バナー広告の効果があったかどうかまでは判断できない。同様に、メルマガやリスティング広告も、直接の効果は測れても、間接的な効果は測れない。「直接・間接広告効果測定」機能は、まさに日本企業が直面している「悩み」に直接応える機能といえるだろう。竹内部長によると、「直接の効果がなく、広告を取りやめたところ、売り上げが半分になってしまった会社がある。間接的効果をきちんと把握しておかないと取り返しの付かないダメージを受ける場合もある」とのことだ。

広告効果の測定機能

広告効果の測定機能


 7月に追加された「シナリオ分析」機能も面白い。一般的なアクセス解析ツールでも、目標達成ページまでの経路を定義し、どのページでユーザーが経路から外れたのか把握できる。しかし、Webサイトの構造が複雑で、必ずしもゴールまでが一本道ではない場合、すべての経路を登録するのは現実的ではない。シビラの「シナリオ分析」では、経路を厳密に定義するのではなく、「チェックポイント」として登録した特定のURLを通過したかどうかを計測する。チェックポイントAからBには70%のユーザーがたどるが、チェックポイントBからCには20%しかたどらない、のように、ユーザーの行動が大まかなシナリオに沿っているかで評価できるわけだ。

シナリオ分析で会員登録から購入までを分析しているところ

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