今年は、エコポイントの導入など、エコロジーに関する話題をよく耳にする。ITの世界でも、エコロジーの重要性は以前から指摘されてきた。自作PCにおいても、TDPや消費電力が小さい低消費電力仕様のCPUは、通常版より高価であっても人気が高い。PCを構成するパーツの中でも、特に消費電力が大きいのがCPUとビデオカード(GPU)だが、それ以外のパーツでも消費電力を削減できるなら、それにこしたことはない。
GeILは、高性能メモリモジュールベンダーとして有名だが、同社の製品ラインナップの中には、Green Seriesと呼ばれる省電力仕様メモリモジュールがある。同シリーズのものとしては、すでにDDR2メモリモジュールがリリースされているが、新製品としてDDR3メモリモジュールが登場した。そこで今回は、この省電力仕様のDDR3メモリモジュールを使うことで、PCの消費電力がどれだけ下がるのか検証してみた。
通常よりも0.2V動作電圧が低い低電圧メモリモジュール
DDR3メモリは、もともとDDR2メモリよりも動作電圧が低くなっており、低消費電力化が図られている。DDR2メモリの動作電圧は1.8Vなのに対し、DDR3メモリの動作電圧は1.5Vである。Green SeriesのDDR3メモリモジュールは、通常のDDR3メモリよりも0.2V低い1.3Vで動作するように設計されている。消費電力は動作電圧の2乗に比例するため、動作電圧が1.5Vから1.3Vになれば、(1.3/1.5)^2≒0.75で、消費電力を25%程度削減できることになる。消費電力が下がれば、もちろん発熱も小さくなるので、冷却面でのメリットも大きい。
Green SeriesのDDR3メモリモジュールは、DDR3-1066(PC3-8500)仕様とDDR3-1333(PC3-10660)仕様の製品があり、デスクトップPC用のDIMMのほか、ノートPC用のSO-DIMMも提供されている。Green SeriesのDDR3メモリモジュールは、デュアルチャネル用キットとして2枚一組で販売されており、1GBメモリモジュール2枚(合計2GB)と2GBメモリモジュール2枚(合計4GB)の製品がある。
環境に配慮した紙パルプ製パッケージを採用
Green Seriesは、製品パッケージにリサイクルによって作られた紙パルプ製パッケージを採用していることも特徴だ。通常のメモリモジュールでは、ブリスターパックなどのプラスチック製パッケージが使われていることが多いが、紙パルプ製パッケージは燃やした場合の環境負荷が小さく、エコロジーの観点からも望ましい。
今回は、デスクトップPC用の1GB DIMM×2および2GB DIMM×2のセットとノートPC用の2GB SO-DIMM×2を試用した。すべてDDR3-1333だが、テスト環境ではDDR3-1066での動作となる。なお、Green SeriesのDDR3-1333メモリは、CASレイテンシが9とやや大きめだ(高速タイプのDDR3-1333メモリでは、CASレイテンシ7が主流)。
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