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行っとけ! Ubuntu道場! 第5回

~師範! フリーソフトウェアってなんですか!~

2009年08月27日 17時30分更新

文● hito(Ubuntu Japanese Team) イラスト●瀬尾浩史

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GPL汚染?

ミズノ:さて、「我々は自由ソフトウェア。お前達を同化する。抵抗は無意味だ。――ぴんぽーん。自由ソフトウェアは用法用量を守り、正しく服用してください」というネタの解説でもしましょうか。

瀬尾浩史:伏線だったんですか!?

hito:(ひそひそ)いま「ふくせん」じゃなくて「ふくペン」って言ってましたよね。

小林:(ひそひそ)さすがセオペンさん、仕込まれた芸は忘れないんですね。

あわしろいくや:同化する、ってのは、いわゆる「GPL汚染」とか呼ばれる話ですな。

やまね:汚染っていう言い方が正しくなさ過ぎるのがイヤなんだけどなぁ。

hito:まぁ、「何も考えずに使っちゃった人」にとっては、「汚染」とか「感染」と言いたいのは分からないでもないですが……。ということで、説明ゼリフよろ。

小林:フリーソフトウェアのライセンスには、「GPL」というものがあります。特徴は、「修正は自由。ただし、修正した後のコードのライセンスもこれと同じ条件で配布すること」というものです。

あわしろいくや:要するにGPLのコードは、色んな人が手を加えていっても、永久にGPL、というわけですよ。改造をしたコードを「これは自分が改造したものだから、自由に使っちゃダメー」なんてことはできないです。ついでに言えば、ソフトウェアを配るときに、ソースコードを入手できるようにする必要もありますな。

やまね:Linuxカーネルやら、GNUの各種ツールやら、Linuxに欠かせないものがGPLでリリースされてるよね。

編集S:……あれ? 改造した後に別ライセンスにできるライセンスもあるんですか?

hito:3-Clause BSDライセンス(いわゆる修正BSDライセンス)とか、2-Clause BSDライセンス(新改訂BSDライセンス)、MITライセンスなんかは、「改造して商用製品に組み込んでOK」ですね。細かな内容はちゃんと調べてほしいですが、「どう修正して使ってもOK、最低限のルールはこれこれ」みたいな形です。

小林:BSDライセンスのコードは、Windowsの一部に含まれていますね。

ミズノ:それとは反対に、「何がなんでも自由ソフトウェアであり続けろ」というのがGPLです。

編集S:あれ、「お前達を同化する。抵抗は無意味だ」って部分との関係は?

やまね:GPLなコードを、「間違って」使ってしまうことがあるので……(ぽりぽり)。

瀬尾浩史:間違って、というと?

やまね:簡単に言えば、「そのコードがGPLだと気付かなかった」とか、「GPLで配布する場合、ソースコードも配布しないといけないことを知らなかった」とか。

編集S:えーと、それは最終的にはどうなるんでしょうか。

やまね:GPLを守るためには、ソースコードも配布しないと駄目。

小林:企業がそれに抵触してしまい、問題になることがありますね。「GPL違反」といった形でニュースサイトに取り上げられます。最終的にはソースコードを公開する体制を整える、という形で終息しますね。

hito:で、これを「ついうっかり」で使った企業側から見ると、「GPL汚染」とかいう話になるわけです。たいていソースコードっていうのは膨大な量になるんですが、その中に、何かの間違いでGPLなコードが含まれていたら全体をGPLで公開しないといけない、という。

瀬尾浩史:「ライセンスも読まずに使った方が悪い」って気がするペン。

やまね:開発を委託していた協力会社が、こっそりGPLなコード使っちゃう、とかいうこともあるからねー。

編集S:えっと、「こっそり」使ってたらバレない気がするんですが、どうやって「実はGPL」ってのが見つかるんでしょう?

ミズノ:考えるな、感じるんだ!

小林:たいていの場合は、「出てくるメッセージがどこかで見たもの」とか、「ファームウェアファイルをよーく見ると……」ということのようです。

hito:あとは、バイナリであっても、内部に含まれている関数呼び出しとかの解析を趣味にしている人が見つけるケースが多いですね。

やまね:気合いで見つけてるんじゃないかなぁ、という世界だよねぇ……。

瀬尾浩史:GPL違反を見つけるティンダロスの猟ペンとか呼び出すんじゃないんですペン?(注5)

hito:時間やら次元を越えて追いかけてくるんですか……。いや、実態もそんな感じではあるんですが。

編集S:鬼女の私もビビるレベルか……。

ミズノ:というわけで、「我々は自由ソフトウェア。お前達を同化する。抵抗は無意味だ。――ぴんぽーん。自由ソフトウェアは用法用量を守り、正しく服用してください」というわけですよ!

編集S:なるほどー。確かに同化されるし、正しく服用しないとキケンですねー。ってあれ、ユーザーからしたら気にする必要はない?

小林:「使うだけ」であればそうかもしれませんが、もしかすると開発に関わることもあるかもしれませんし、知識として持っておいた方が良いように思います。



編集S:……てなあたりで、今回も時間になりました。

瀬尾浩史:次回はどうなりますペン?

小林:道場はお休みです。お休みですが……。

ミズノ:「が」?

編集S:ふっふっふ。9月は色々(注6)あります。楽しみにしててくださいねー!


(注5)
hito:ティンダロスの猟犬なんて普通知りませんよ!
瀬尾浩史:すみまペン。
編集S:だから注が役に立たないぐらいディープなネタはやめろというに。
ミズノ:詳しくはググってね!

(注6)
瀬尾浩史:何があるペン?
編集S:瀬尾センセーもいま原稿描いてるアレとかですよ。
瀬尾浩史:ああ、アレ。まだ描いてまペン。
編集S:超なんだと。

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